身元が不明ならば、被害者は泣き寝入りするしかない
詐欺罪のような財産犯では、被害者に金品等を返還できないと初犯であっても実刑判決が下される可能性がある。しかも、近年ではオレオレ詐欺の横行が社会問題化されたこともあり、この手の不特定多数人に対する詐欺には重い判決が下される傾向にある。
さらに悪いことに本件の被害額は1,000万円と高額だ。返還できなければ実刑になる可能性は高い。この男にはその旨を説明し、親族から借り入れる方法など、ありとあらゆる手段を用いて何としてでも返済を行うべきだと告げた。
今回は詐欺を行った者の身元が相手方に割れていたため、詐欺師は刑事処分を恐れて返済に走ることとなった。しかし、ネット社会は匿名性が強い。仮に今回のケースでも身元が相手方に知られていなければ、弁護士事務所など訪れずに逃げ去っていたかもしれない。そうなれば、被害者は泣き寝入りである。必死に貯めた虎の子は永遠に戻ってこない。
また、相手の身元をしっかりと把握していると思っていても、架空名義や架空口座を利用している可能性も否めない。ネット社会では常にこの匿名性のリスクがともなう。対策としては、身元の確実性・安心性が認められない者を信用しない、投資の内容が不明確であるときには疑うべきだ、ということがあげられる。これらはどれも基本的なことである。
「そんなこと当たり前だ」 「俺はネット社会の連中に金を渡したりしないよ」 という声が聞こえてきそうである。全くその通りである。今回騙された者も当初はそのような認識だったと思われる。ところが、詐欺師の話したとおりに株価が推移し、あぶく銭を手に入れている自分を想像したことで、正常な判断ができなくなってしまったのだろう。
人は自らの面前で予言を的中させられると、その者の言うことを信じてしまいがちである。その的中が複数回となれば、もはや確信にまで至りかねない。
それに欲が絡むとなおさらだ。欲は理性的な判断を妨げるからだ。詐欺師はこのような心の隙間を狙ってくる。そして心に隙間がないときには、さまざまな手段を駆使してそれを作り出す。一流の詐欺師の前では、「身元の確実性を確認せよ」 「投資内容の明確性を追及せよ」 などという一般的な注意事項は、大した効果を発揮しない。
騙されたくないあたなが取るべき方法
では騙されないようにするために、どうしたら良いのだろうか。















