消費不況でモノの値段が下がり、さまざまな業種で疲弊をともなう価格競争が繰り広げられているが、そうした世間とは別世界にいるのが、お坊さんたちだ。
「坊主丸儲け」という言葉はよく聞くが、これは寺の住職が元手なしで、利益を得ることができるということを指している。花屋や八百屋と異なり、僧侶は元手なしで(お経を唱えるだけで)布施がもらえるとして、実入りのいい仕事をうらやんだり非難するときに使われる言葉だ。
また有名なのがお寺が税金面で優遇されているという事実だ。社会に貢献する事業を行っていることから課税を免除され、お寺は法人税や所得税、固定資産税はもちろん消費税すら課されないのだ。

さらに葬式の際に支払われるお布施は平均44万円(東京都生活文化局調査)と、国内の最低賃金が時給703円にとどまる中、短時間労働としては破格の待遇だ。お布施の金額は地域や宗派などから算出されるので、不況の影響を受けることなく安定した収入を確保している。しかもお布施は葬式だけでなく、その後に行われる四十九日忌や一周忌、法事でも納められる。
また、置いておくだけで勝手にお金が増えていく「お賽銭箱」の存在も寺の懐を温めている。ただ不況によってお賽銭泥棒も発生しており、全国各地で窃盗容疑による逮捕も相次いでいる。お寺では防犯ブザーや監視カメラなどを取り付けて防犯を図っているところも増えているようだが・・・。
安定しているのは収入だけではない。雇用環境も良好で、実家がお寺の場合は、一般のサラリーマンのように転勤やリストラの恐怖にさらされることもなく、定年さえもない終身雇用が基本だ。
こうして見てみるとお坊さんはなんとも恵まれた職業に感じるが、良いことばかりでないのが現実というもの。というのも、不幸は突然起こるものなので、葬祭の時は常に急に呼び出されることになる。火葬場が休みになる「友引」以外には安定した休日は確保できない上に、年末年始やお盆、彼岸など世間が休んでいる時期は常に忙しい。
また品行方正が求められる職業柄、飲み屋やパチンコ屋にも入りづらい。給料だって安定はしているものの、全国に約14,000のお寺がある曹洞宗の場合、平均年収は565万円と、世間のイメージほどは高給ではない。中には商売におけるリピーターである「檀家」が少なく、経済的に貧窮しているお寺もあり、必ずしも経済的に裕福であるとは限らないのだ。住職の世界にも「理想」と「現実」が存在するということなのだろうか。
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