法務省が8月27日、東京拘置所の死刑が執行される刑場を報道機関に公開した。執行の現場が、映像や写真を通じて初めて国民の目に広く触れることになった。千葉景子法相は27日午後の閣議後会見で刑場の公開の理由について「裁判員裁判で国民の関心も高まる昨今、死刑制度の国民的議論の検討をいただく材料になるのではないかと考えている」と述べた。
現在、日本国内では確定死刑囚は8月現在で107人に上る。一方、2008年の刑務所の収容人員は7万6881人だった。では、刑務所の受刑者にはどれくらいの費用が掛かっているのだろうか。
平成20年度版犯罪白書によると、受刑者は、その体質、健康、年齢、作業等を考慮して、必要な食事及び飲料(湯茶等)が支給されるほか、日常生活に必要な衣類、寝具、日用品等が貸与又は支給される。1日の食費は、成人受刑者一人当たり421.50円だった。これに服代、医療費などを合計し、受刑者1人当たりにかかる生活経費は1日当たり平均約1310円だという。月額で約3万9000円、年間約47万8000円となる。
また2007年に刑務所内で作業に従事していた人は、約6万7500人で歳入額は約58億円だった。年間では1人当たり約8万6000円となる。作業の収入は国の収入となるが、作業に従事した受刑者には釈放時に作業報奨金が支給される。1人1カ月の平均作業報奨金計算高は、4098円だった。ちなみに、受刑者が行う作業の材料を提供したり、製品の販売を行う法務省管轄の財団法人「矯正協会」は、元検事総長や法務省出身者の指定天下り先で、役員報酬が高すぎるとして、今年5月の事業仕分けの対象となっていた。
これらの受刑者の生活経費には、刑務所施設の維持費や国選弁護人の費用などは含まれていない。08年に財務省は、再犯性が高い受刑者に対して再販防止策を講じて社会復帰を促すことで、治安の回復を図ることを狙いとして、受刑者1人当たりの年間予算として約248万円を計上していた。もし死刑が廃止された場合には、毎年1人につきこれだけの税金が費やされることになる。
これら受刑者に掛る費用はすべて税金でまかなわれており、その金額は決して少なくない。一方で、国際的には死刑は人権侵害にあたるとして、死刑制度の廃止する国も増えている。今回の刑場公開がきっかけとなって再び議論が行われるのか、今後の動向が注目される。
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