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 基本給に残業代、通勤手当に扶養手当など、自分の給料がどんな仕組みになっているのか理解しているサラリーマンはほとんどいない。いつ人員整理されるかわからない自己責任の時代だからこそ、ビジネススキルとして知っておいて損はない。


給料の仕組みを知ればビジネススキルもアップする

 時節柄「派遣切り」や「内定取り消し」が問題になっていますが、正規の労働者にとっても、100年に一度といわれる不況下にあって、いつ人員整理や早期退職に追い込まれるかわからない状況にあります。

 高度成長期であれば、労働組合も強くて簡単に首切りはできませんでしたが、規制緩和の推進や出口の見えない不況の中で、いまや企業側の論理によって、以前よりたやすく労働者の権利を制限することが可能になりました。

 労働者の権利の中で最大のものは、労働の対価として「賃金」をもらうことですが、この意義や定義、そして具体的な中味について、よく知らなかったり理解していなかったり、あるいは関心がなかったりすることが多いようです。

 会社から支給される給料を黙ってありがたく頂戴するのは悪いことではありませんが、そもそも働く者にとって、「賃金」はどんな意味を持つのか、どんな背景で決定されるのか、税金の他に天引きされているのはどんなものなのかなど、「賃金」についての基礎知識を知らないと、自分の生活設計にも支障が出てくることにもなりかねません。

 そこで、サラリーマンにとっていちばん身近で関心が高いけれど、いまいちよく理解できない給料の「カラクリ」について、新しく今回から連載することになりました。

 給料と賃金はよく同じように使われて混乱するので、ここでは具体的な賃金は「給料」(給与)とし、概念として使われているところは「賃金」としています。自分の給料の仕組みもわからなければ、社会人として一人前だといえませんし、中には人件費を少しでも安くしたいと、違法な人事制度を採用して、不当に給料を抑えている企業もあるかもしれません。そんな労働者の不利益を見抜くためにも、きちんとした知識を身につける必要があります。しっかり読んで理解を深めれば、ビジネスのスキルとしてもプラスになることは確実です。

自分の給料の何倍稼げば一人前なのか?

 ではまず、「給料」(給与)とはどんなものでしょうか? 禅問答ではありませんが、基本的なことから解説していくことにしましょう。労働基準法では、給与は毎月1回以上、直接本人に通貨で、全額を一定の期間に支払うことが定められています。

 給与は、労働力の基本的な評価である「基本給」と、役職手当や住宅手当など勤務に応じたいくつかの「手当」、そして時間外労働などの時間外手当や休日手当など「超過勤務手当」から構成されています。

 給与の原資は、企業の総売上高から仕入高などの売上原価を差し引いた売上総利益(粗利益)から捻出されます。あなたが営業マンならこの粗利益をたくさん稼ぐことが、給与の原資を増やすことになり給料アップにつながることになるのです。

 では、自分の給与に対してどのくらい稼げば、堂々と「自分は給料分きちんと働いている」といえるのでしょうか。

 企業によって、経費のかかり方や目標とする利益率が異なりますので一概にはいえませんが、通常は「自分の給料の3倍粗利益を稼げば一人前」といわれています。というのは、人件費以外の会社のさまざまな経費や、経理や総務などバックオフィス部門の給料も稼がなければならないからです。

 つまり営業マン1人で3人前の働きをしなければ、会社が成り立っていかないことになります。もしあなたが、それ以上、5人分でも10人分でも粗利益をあげていれば、会社に貢献しているということで、どんどん給料があがる可能性があります。

 ただしこれは、会社全体が儲かっているときで、自分だけ稼いでいても他の部門の業績が悪く、全体で赤字であれば給料アップどころか減俸の可能性も十分考えられます。

 業種別に見てみると、例えばタクシー運転手なら推定年収が328万円ですから、984万円の粗利益を稼がなければいけないことになります。月額でいうと82万円稼ぐには、実働22日として一日当たり3万7000円の売上げが必要になります。



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プロフィール
高橋 節男タカハシ セツオ

1949年生まれ。1984年に税理士登録をして、有限会社エムエムアイを設立。1988年に株式会社に変更して、税務・財務・経営にかんするコンサルティングを主な業務とする。
 税理士法人エムエムアイ、ちょうぼ倶楽部、楽天MMI-eshopなどのグループ会社の代表責任者としてエムエムアイグループを統括。個人の確定申告から中小企業の決算作業や経営のアドバイスなど、あらゆる顧客のニーズに応えている。
 また税金や経理について関心の高い人向けに、「Dailyコラム」を毎日、メールで配信中。税金や経理の知識だけでなく、年金問題など一般的な経済のキーワードもわかりやすく解説していると好評を博している。


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