第45回
土居 雅紹
2012年01月20日 11:00



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ユーロ円相場の水準にこだわっているのは日本人だけ。四の五の言うより「円高ユーロ安」を活かした投資を考えるべきだ。(バックナンバーはこちら


ユーロ円相場は無意味?

 ユーロがついに対円で90円台となりました。これはユーロ発足直後の水準で、2008年7月につけた169円98銭/ユーロまでの長期的な上昇は一体何だったのだろうと思わせるものです(出所:ロイター)。

 一方、企業も投資家も消費者も、現在の国際通貨制度に欠陥があったとしても、その枠組みの中でできることを考えなければなりません。そこで、現時点で「円高ユーロ安」にどう対応すべきか考えてみましょう。

 世界の人口のうち、果たしてどれだけの方がユーロの対円相場を意識しているのでしょうか? ユーロ圏との取引が多い企業や、ヨーロッパへの旅行が好きな方は日本国内に多いとしても、実際のユーロ対円相場は、米ドルとユーロ、米ドルと円の相対的な位置関係で決まってしまいます。つまり、「ユーロ100円割れ」を大ニュースと考えているのは日本のほんの一部の方々だけで、建物の影の形をうんぬん批評しているようなものです。つまりユーロ円相場は、「幻」とまでは言わなくとも「影」のようなものといえるでしょう。

 これを象徴するのが2011年12月30日から2012年1月4日までの外為相場の値動きです。日本円は、対豪ドル、ブラジルレアル、ニュージーランドドルでは大幅に下落した一方、対韓国ウォンでは変わらず、対ドルでは上昇、対ユーロでは大幅上昇となっています。結果としてユーロは対円で100円割れとなりましたが、中味を見れば、ユーロが各通貨に対して大きく下げ、米ドルも同様に押しなべて下げた一方、資源国の通貨が全面高となっています。つまり、この期間は、ユーロ対豪ドルやユーロ対ブラジルレアルの方が、対円相場よりもはるかに大きくユーロ安となった訳です。

 つまり、「ユーロ円相場」を気に掛けるのは日本という視点からだけ世界を見ている天動説を信じているようなものです。結局、「ユーロ円が問題だ、なんとかしなければ」となれば、根本的にはユーロ自身の問題であるだけに、どんな手段を使っても他の通貨に対しても日本円を同様に切り下げることを考えなければならず、結局は円の対米ドル相場を切り下げることになります。

ユーロ大波乱は個人投資家にはチャンス!

 2000年のユーロ下落時は、2000年10月の88円88銭/ユーロから2000年12月には一気に107円83銭まで上昇しました。

 今回も、「日本とユーロ圏の経済力が2008年夏の高値から3年で7割も変化するとは説明ができない。この制度はおかしい」という批判をしているうちにも、相場は大きく動いてしまうかもしれないのです。議論のための議論は好きな方々に任せておいて、さっさと行動することを考えましょう。だれにも投資行動を報告する必要がない個人投資家は、こういった局面で思い切ったポジションが取りやすいという優位性があります。

投資アイデア1:更なるユーロの独歩安に乗る

 2012年になってもまだまだユーロ問題の山場は続きます。仮に周辺国のユーロ離脱が行われると、残るドイツやフランスなどのコアな国々の経済がいくら強くとも、ユーロという通貨がしばらく混乱することは避けられないでしょう。そうなるとユーロが各国通貨に対して一段安となる可能性が高く、これに乗ることで収益を得ることができるでしょう。しかしながら、パニックで値動きが荒くなることと、各国中央銀行の介入などで相場水準が急変することも考えておかなければなりません。このため、投資・投機に充てる資金を運用資産総額の数%程度に抑え、こまめに利食い・損切りを行う投資規律が必須と思われます。また、この際に、最大損失が投資資金までに限定されているユーロeワラントのプットを使うことも一案です。

投資アイデア2:円の凋落に供える

 ユーロ、米ドルともに円に対して下落し、投機筋が依然としてユーロに目を向けている現在は、日本円ベースの投資家にとっては数十年に一度の投資チャンスかもしれません。日本の財政破綻や、日本が投機資金のターゲットになって本当の危機が来る前に備えておくというわけです。この想定なら、数年単位の長期投資を覚悟して、ユーロを含めた外貨、外国株、国内の資源関連株(総合商社株などを含む)、コモディティへの投資を進めることが良策と思われます。

投資アイデア3:日本の通貨当局の大どんでん返し?

 スイス政府が「無謀」とか「焼け石に水」といわれながらも、毅然とした政策で自国通貨の一方的な上昇を食い止めたのは記憶に新しいところです。同様に、今後わが国の政策担当者による肝が据わった円高対策が採られると思うなら、円安外貨高を狙ったポジションに妙味があると思われます。

 とはいえ実行までに半年程度はかかるだろうと考えるのであれば、瞬間的な5%程度の一段の円高があっても大丈夫なように、レバレッジを掛けないでMMFなどでユーロポジションを積み増していくことが有効と思われます。

 一方、1-2ヶ月で日本の政策担当者が大胆な行動に出ると考えるのであれば、円全面安となると思われるので、3月満期の米ドルニアピンの4円から6円円安となるピン価格を持つ銘柄に投資して、じっくり待つ方法も考えられます。

 次に話題を変えて、これまで心棒者の多かった、長期投資の危険性について考えてみます。日本株が20年下がりっぱなしでも、長期ほったらかし投資信奉者は少なくありません。次は中国で同じ失敗を繰り返すことになるでしょう。(次ページへ続く)



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プロフィール
土居 雅紹ドイ マサツグ

一橋大学商学部卒。ノースキャロライナ大学経営大学院MBA取得。大和証券での証券アナリスト、デリバティブ営業、大蔵省財政金融研究所勤務を経て1998年ゴールドマン・サックス証券入社。2000年にeワラントを開発・導入。2011年8月よりeワラント証券COO。CFA協会認定証券アナリスト(CFA)、 日本証券アナリスト協会検定会員。
主な著書に『勝ち抜け!サバイバル投資術』(実業之日本社)がある。


本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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