世界の基軸通貨「米ドル」だ。経済不振だろうとこれは紛れもない事実だ。その動きを予測するために、月初の第一金曜日、午前8時30分に、全世界が注目している。(バックナンバーはこちら



世界の通貨売買量の半分を占める米国ドル

 外国為替で投資をおこなう場合の基軸通貨は、何といっても「米国ドル」で、世界中どこに行ってもドルだけは、通貨価値が安定していて通用する。紛争地帯ではもちろん、どこかで戦争が勃発しても、ドルの通貨価値は普遍的であり、世界中で売買される通貨の半分近くを占めている。

 この背景には、世界最大の軍事力と経済力があり、第二次世界大戦以後、英国のポンドに取って代わり、世界の基軸通貨として君臨している。米ドルは現在、各国の貿易や資本取引で使用されたり、外貨準備金として保有されている。

 基軸通貨としてのメリットはたくさんあるが、まず流通量が他の通貨に比べて圧倒的に多いので、換金しやすく手数料も格安である。世界中どの国に行っても、地元の金融機関ではドルを交換してくれるし、ドルで購入できる金融商品も、株式や債券など豊富にある。その結果、ドルに関する情報も極めて多く、集めやすいわけだ。

 つまり、投資用の金融商品としては、初心者でも安心して利用できるということだ。逆にデメリットをあげるとすれば、現在米国は膨大な財政赤字を抱えているので、米国のマーケットに魅力がなくなると、ドルの価値がどんどん下がっていく可能性もあることだ。

 いままでは、貿易赤字(モノの赤字)を資本黒字(カネの黒字)でまかなってきたが、それも政府の高金利政策があったからこそ可能であったが、その魅力が薄れるとたちまち暴落してしまうというリスクもはらんでいる。

 では、米ドルのファンダメンタルズをチェックするには、どのようにすればよいのだろうか。まず政策面から調べていくと、「金利」の状況があげられる。利下げになると、ドル売りの材料になり、円高ドル安の要因になってくる。逆に利上げになると、円安ドル高の方向に進むようになる。

 また、米ドルが他の通貨より特徴的なのは、地政学的な要因に左右されるということ。世界の基軸通貨なので、世界中の動きに反応しやすく、例えば、北朝鮮やイランの核問題で紛争に巻き込まれたり、テロの危機にさらされたりすると、米ドルは売られて、ドルの価値が暴落することになる。

米国の雇用者数で株式市場や為替市場が変動する

 それでは、米ドルの動きを予測するためには、どのようなデータや資料が役に立つのであろうか。ここで、使える経済統計として「雇用統計」「ISM指数」「小売売上高」「実質DGP」「PPI・CPI」の5つのデータをあげておきたい。

 あなたはこれらの統計が持つ意味をすべて把握しているだろうか。もしまだ理解していなくても大丈夫だ。ここでしっかりとチェックしておこう。(次ページへ続く)



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プロフィール
橘 尚人タチバナ ナオト

大学卒業後、生命保険会社や投信会社などいくつかの金融機関を経て、現在、外資系投信会社でマーケットアナリストを務める。これまで金融商品の企画・設定から市場の分析に携わり、各方面で実績を積み、高い評価を受けている。一方、格差社会の問題にも関心高く、小泉構造改革の矛盾点を鋭い視点から分析する異色のアナリスト。著書に「石橋は渡るな!‐爆騰狙いのハイリターン投資入門」(光文社ペーパーバックス)がある。


本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る


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