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治安が懸念されている南アフリカで、新たな懸念材料もある。W杯本大会を人質にした公務員の「スト」の強行だ。


 6月11日から開催される、サッカー・ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会。南アフリカの政治情勢は比較的安定しているものの、治安の悪さはかねてから問題視され、ここ数日の間に外国人記者を狙った犯罪も発生している。特に開催期間中には、多くの外国人観戦者を狙った犯罪が懸念されており、W杯を狙ったテロ計画があるといった報道もある。

 そうしたなか、サッカーファンを心配させるもう1つの懸念材料がある。それは、南アフリカの名物ともいえる大規模なストだ。南アフリカでは、過去にも度々大規模なストが発生し、公共交通機関がまひしたり、ごみが収集されず町中がゴミだらけになったりするなど、大きな混乱が生じたことがある。

 このような大規模ストが頻発する背景には、南アフリカの失業率と物価上昇率が高止まりしていることが挙げられる。外務省のホームページによると、2008年度の失業率が22.9%となっている。単純に計算すれば、国民の4人に1人が失業していることになる。南アフリカは、2009年にリセッション(景気後退)を迎えたとされており、今の失業率はさらに悪化しているはずだ。一方の物価上昇率は、かつて14%近くまで上昇していた。現在はその半分以下に下落し、落ち着きを取り戻しているものの、国民の生活不安はぬぐえていない。こうした貧困と混乱が、南アフリカに暗い影を落としているのだ。

 今年に入って、国営運輸会社「トランスネット」が賃上げを求めてストに突入し、同国の運輸に大きな影響が出た。さらに今後も100万人を超える数の公務員が同様の要求を行い、W杯期間中にストを行う構えを見せはじめているという。

 W杯は、南アフリカの魅力を世界にアピールする絶好の機会だが、ストを強行し、W杯の運営に影響を与えれば、違った意味で世界の注目を集めることになるだろう。「懸念」が「取り越し苦労」に終わることを祈るばかりだ。

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