ワールドオーシャンファーム ~巨額詐欺の手法~
ワールドオーシャンファームをご存じだろうか。昨今マスコミを賑わせていたのでご存じの方も多くいることだろう。例の巨額のエビ養殖詐欺、といえばピンとくる方も多いはず。
「フィリピンでエビの養殖事業を行う」「投資すれば1年で元本が倍になる」などと銘打って、約3万5000人から約850億円の資金を集めた例の大規模詐欺事件である。

マスコミ等でこの記事を目にした方々は、「何であんなものに騙される人がいるのかねぇ」「騙される人も騙される人だ」などと考えたかもしれない。しかし、詐欺は知的犯罪と言われるように、詐欺師と被害者の知恵比べの性格を有している。そして、同社の詐欺手法も工夫に富んでいるのだ。
匿名組合を使った資金集めのテクニック
まず、同社は、資金集めの方法として匿名組合方式を用いている。匿名組合とは、匿名組合員が営業者に出資をなし、その営業より生じる利益の分配を受けることを約束する契約形態をいう。平たく言えば、営業者が匿名組合員から集めた財産を運用して利益をあげ、これを分配するのが匿名組合契約となる。

匿名組合方式は、出資金を合法的に集めるための手法として、当時投資ファンドなどと呼ばれ頻繁に用いられていた(なお、この手法による出資金集めについてはトラブルが絶えなかったことなどから、現在では金融商品取引法により原則として金融庁及び財務局の監督下に置かれることとされている)。
このように、同社は匿名組合方式という合法的なスキームを用いていた。仮に、同社が出資法違反など、違法な形での出資金集めを行っているのであれば、出資者が警戒し、これほどまで被害者が増加することはなかっただろう。
次に、同社は、自らが行っている事業の信用性を増やすために、大規模なパーティ、研修旅行、現地訪問や有名人を広告塔として利用する活動も行っていた。
しかし、この手法は何も詐欺に限って行われるものではない。同社が行った手法は、一般の詐欺的要素の全くない投資事業を行う企業も信用性を強化する作業として利用している。企業の製品をアピールするために、有名人をテレビCMに用いるのと、原理的には何ら変わらない。
このように、パーティや研修旅行等を通じて、投資家の猜疑心を緩和し続けたのである。さらに同社は、詐欺を成功させるための工夫を行っていた。(次ページへ続く)














