西日本地区の地方銀行、進む越境・メガバンク系列化
地方銀行第二弾! 今回は西日本編だ。東日本地区の各行に比べれば、大震災による影響は軽微だったとはいえ、超円高やタイ洪水の余波を受けている取引先の支援や、縮小する「利ザヤ」業務に代わる新たな収益源の発掘など課題は山積み。疲弊が目立つ地方経済・農業の立て直しに向け、主導的役割の発揮も求められている。
西日本を拠点とする地方銀行で目立つのは、営業地区の広域化、いわゆる“越境”だ。富山が地盤の北陸銀行は、北海道銀行とほくほくフィナンシャルグループ(FG)を結成。山口銀行は金融持株会社の山口FGの中核銀行として、広島のもみじ銀行を実質的に従えているほか、11年10月には北九州銀行を新たに設立した。香川銀行と徳島銀行は、トモニホールディングス(HD)傘下として経営統合している。福岡銀行を中心とするふくおかFGがグループ化しているのは、熊本ファミリー銀行と長崎の親和銀行である。
そのほか、びわこ銀行を吸収合併した関西アーバン銀行は三井住友FGの子会社・泉州銀行と、池田銀行の合併銀行である池田泉州銀行は三菱UFJFG関連会社といったように、メガバンクの系列色が目立ってきたのも特徴だ。
地銀が束になってもかなわない、セブン銀行 総合商社並みの純利益
しかしながら、西日本に限らず東日本を含めて、すべての地方銀行が束になってもかなわない銀行がある。流通大手セブン&アイHD傘下のセブン銀行だ。
セブン銀行の従業員1人当たりの稼ぎ(純利益)は4880万円――。これは全国展開のりそな銀行、新生銀行、あおぞら銀行をはるかに上回る水準。三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行、みずほ銀行をも凌駕する。その純利益で比較対象となるのは、なんと総合商社である。三井物産は3789万、三菱商事でも4260万円であることをみれば、驚異的な数値といっていいだろう。
セブン銀行は、グループ内のコンビニなどに設置したATMの利用手数料で稼ぐ。1台当たり1日の平均利用件数は112.3件。年間の総利用件数は6億900万件にのぼる。一般事業会社の売上高に相当する、経常収益839億円のほぼ全額、96%の805億円がATM受入手数料である。ATMの設置台数は1万5000台余、その資産価値は70億円。1台の資産価値がわずか46万円のATMが、着実に稼いでくれるという構図だ。
“ATM銀行”のセブン銀行に対して、行員1人当たりの預金量・貸出金が20億円前後の福岡銀行や静岡銀行など、既存銀行の最大の武器はマンパワーであることはいうまでもない。貸出と預金の利回りの差で収益を確保という、銀行の伝統的な「利ザヤ」ビジネスの根幹をなす、預金量と貸出金の状況はどうか。貸出には行員の高度な判断力が不可欠だ。(次ページへ続く)








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