ポンド取引は意外と簡単だ。住宅価格やローン純貸出高で英国の経済動向が読めるのだ。ポンドのメリット・デメリットに加え、「使える経済統計トップ5」を紹介しておこう。(バックナンバーはこちら



誇り高き大英帝国でユーロが使えない理由

 欧州連合の主要国でありながら、共通通貨のユーロが使えない国、それが誇り高き大英帝国イギリスである。もともと共通通貨の導入の目的は、経済を一体とすることで、最終的に国家を統合して戦争のない世界を構築したいという構想であった。

 しかし、かつての世界基軸通貨として権勢を誇ったイギリスポンドを有する英国は、なかなか導入に踏み切らなかった。

 第二次世界大戦後は、基軸通貨の座を米国ドルに取って代わられたが、1999年のユーロ導入までは、ドイツマルクやスイスフランと同様に、欧州の中心的通貨だったからだ。

 大英帝国「グレートブリデン」と呼ばれた誇り高き国民性は、ユーロ導入に理解を示さなかった。なぜなら、ユーロに参加すると自国通貨がなくなるので、金融政策(自国通貨の量を制御する政策)を自国の都合で実施できなくなるからだ。

 金融政策としては、景気変動を抑えて安定した経済成長を得るために、最も重要な手段を他の国に委ねることはできない。その手段を失うことには、相当に大きなデメリットがあると考えたのだ。

 さらにユーロに参加するためには財政赤字を抑える必要があり、そのためには金融政策だけではなく、財政政策も自国の都合で自由に実施できなくなるおそれもある。実際、財政政策もまたマクロ経済の制御のために重要である。

 イギリスのユーロ参加には、これだけのデメリットを上回るメリットは見いだせなかったということだろう。実際には、イギリスがユーロに参加しなかったのは賢明で、スウェーデンも同様に参加しなかったのでうまくいっているのだという声もある。

 今後、イギリスがユーロに加盟する可能性はなくもないが、参加するには国民投票が必要で、参加へのハードルは高いといえる。

ポンドのメリット・デメリット

 では、投資家にとっては、この英国の政策はどうなのだろうか。率直に言うと、基軸通貨の地位や欧州通貨の中心的地位を失ったことはデメリットであり、石油産出国のオーストラリアドルやカナダドルには資源国通貨としても及ばないのでマイナスである。

 そのうえ、米国と同様に世界各地で起きる紛争や戦争、そしてテロに巻き込まれる可能性も大きく、この面からもデメリットが大きい。

 では、メリットは何もないのかというとそうでもない。(次ページへ続く)



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プロフィール
橘 尚人タチバナ ナオト

大学卒業後、生命保険会社や投信会社などいくつかの金融機関を経て、現在、外資系投信会社でマーケットアナリストを務める。これまで金融商品の企画・設定から市場の分析に携わり、各方面で実績を積み、高い評価を受けている。一方、格差社会の問題にも関心高く、小泉構造改革の矛盾点を鋭い視点から分析する異色のアナリスト。著書に「石橋は渡るな!‐爆騰狙いのハイリターン投資入門」(光文社ペーパーバックス)がある。


本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る


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