政府系ファンド
今年10月、日経平均株価がバブル後最安値を更新し、6,994円をつけました。世界金融危機の影響を受け、上昇したと思ったら下落するなど不安定な相場が続いています。
最近の相場を見ていると、今から約5年前を思い出します。日本経済が先行き不透明と騒がれ、2006年3月には日経平均株価が8,000円を割り込み、同月4日に7,603円で底を付けました。この時、日本人は株を売却していましたが、中東勢は日本株を割安と判断し、オイルマネーが一気に日本市場に流れ込みました。
その巨額なオイルマネーを運用するのが政府系ファンドです。昨年、新聞やテレビなどで、中東の政府系ファンドがシティバンクに出資、バーニーズ・ニューヨークを買収するといった報道がされ、「政府系ファンド」という言葉を耳にした人は多いでしょう。
政府系ファンドとは、名前の通り政府が運用するファンドで、「Sovereign Wealth Fund(ソブリン・ウェルス・ファンド)」を略してSWFと呼ばれることもあります。民間のファンドがお客さんからお金を集めて運用をするのと異なり、政府系ファンドは原油や天然ガスなどの天然資源の収入や、外貨準備高や不動産の売却益などの国有資産を、株式や債券、不動産などで運用します。

「国」として考えると規模が大きく、イメージしづらいかもしれませんが、私たち個人が貯金の一部を老後に備えて株式投資をしたり、円安に備えて外貨預金をしたりするのと基本的には同じことです。
例えば、中国の政府系ファンド中国投資有限公司は、外貨準備高を原資としています。貿易黒字国である中国では、輸出により利益を得た企業が外貨を元に換金するため、元高を防ぐのを目的として通貨当局が元売り・ドル買いの為替介入をすることで、外貨準備高が増加しました。
2006年2月には、中国の外貨準備高は日本を抜いて世界一の規模となりました。しかし、外貨準備高が増加しすぎると、為替相場の変動により資産価値が元ベースで目減りするリスクが高くなるため、2007年に政府系ファンド中国投資有限公司を設立し、外貨準備高の一部を運用しています。
また、政府系ファンドは、アラブ首長国連邦以外にも、サウジアラビアやクウェート、カタール、中国、シンガポール、ロシア、ノルウェーなどが持っています。在アラブ首長国連邦日本大使館が、アブダビ投資庁に関する情報を公開していますので見てみましょう。
アブダビ投資庁
設立目的
アブダビ首長国財政の健全化を図る一方で、天然資源の枯渇に備えた将来世代の為に、金融資産の保全と有効活用が責務。アブダビ財務庁から政府収入の内の余剰分を運用
資産規模
非公開 (5,000億~1兆米ドルとの外部評価)
投資概要
海外での投資を基本とし、アブダビ政府から直接的な干渉を受けない独自の投資戦略を有している。ファンドマネージャーに委託したポートフォリオ投資が過半を占め、短期の売買で利ざやを稼ぐのではなく、世界で運用する高い技術力を有する企業などに長期(3~5年で見直し)に亘って株式を保有。
一方で投資先への経営には基本的に不干渉。また、最近では新興市場への参入に目論み、新しい部局が創設されている。他方、資産内容に関してはその流動性確保の為、債権を一定の比率で保有している。全体として米国への投資が多い中、日本への投資は400億米ドルで70%がポートフォリオ投資と言われている。(以上、在アラブ首長国連邦日本大使館資料より抜粋)
シティグループの筆頭株主に
さてアブダビ投資庁はシティグループの筆頭株主となったことで多くの人にその存在を知られるようになりました。(次ページへ続く)







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