北米などの海外での販売不振、世界同時株安による株価下落がトヨタを襲っている。だがバブル崩壊後の90年代も「勝ち組」であり続けた同社はすでに復活のシナリオを描いている。



 これまで右肩上がりの成長を続けてきたトヨタに異変が起こっている。
 今年度はすでに1~9月期の世界販売台数で米ゼネラル・モーターズ(GM)を上回り、初の年間世界首位に王手をかけているが、素直には喜べる状況ではない。というのも最近では、金融危機による北米をはじめとした海外での販売不振、世界同時株安による株価下落がトヨタ首脳陣を悩ましているからだ。

 しかし2兆円近くの現金を保有し、実質的に無借金経営で、「トヨタ銀行」と言われるほど財務体質の強さは際立っている。09年3月期の営業利益も前年よりも3割近くダウンするものの、それでも1兆6000億円を見込んでおり、現在の金融危機を乗り切るだけの体力と経営基盤がトヨタには備わっているのだ。

 またトヨタ幹部はすでに復活のシナリオを描いている。北米での景気減速が深刻化し販売不振にあえぐ中、米国では大型ピックアップトラックなど11車種を対象に、「ゼロ金利」キャンペーンを先月から開始した。金利なしで新車をローン販売する手法は劇薬とも言われ、ともすればブランドイメージを損なう恐れがあるが、米自動車大手3社(ビッグスリー)がリストラを急ぐ中、従業員を解雇せずに販売を立て直すことができれば、米国内でのトヨタの評価につながる。

 同時にトヨタは金融危機や原油高に対し、ハイブリッド車や小型車に注力することで対応する。ハイブリッド車の「プリウス」は好調で、今年累計販売台数が100万台を突破したばかりだが、この勢いをいっそう拡大し、2010年代初頭に世界での年間販売台数100万台を達成するという目標を立てている。さらに小型車では11月20日に新型車「iQ」を発売する予定だ。全長3メートル弱と4人乗り乗用車では世界で最も短い超小型車となる同車は、低燃費が売りでガソリン高で発売前から注目を集めている。

トヨタ新型車「iQ」
iQ

 平成バブルが崩壊した後、デフレ不況に日本経済が陥った90年代も「勝ち組」であり続けたトヨタ。ハイブリッド車と小型車へのシフトという「復活のシナリオ」が思惑通りに進めば、再び軌道に乗る日もそう遠くはない。

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