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【現役税理士が警鐘】
「無税の人」只野氏よ、あなたの方法はここが問題だ

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2008/12/06 09:00

 35年間一銭も税金を払わなかった男は、果たして合法なのか? その手口を徹底検証しながら、危うさを指摘。税務署にビクビクせず、節税も給与アップも期待できる一石五鳥のスキームとは?(バックナンバーはこちら)

「無税の人」只野範男氏の優雅な生活

 無税の人――35年間、所得税や住民税を払わなかった男が、いま話題になっています。
 その男、只野範男氏は、コンピュータ保守サービスの中小企業に勤めるサラリーマンです。仕事の傍ら、趣味のイラストを描いて「副収入」を得ています。

 そうして、イラストの画代の収入を損益計算し収支を赤字にして、いったん給与で納めた税金を全額還付してもらっているのです。毎月の給与から源泉徴収されている所得税や住民税を、イラスト描きでかかった経費で赤字にして、税金を取り戻す仕組みを作り、これを自著『無税入門』(飛鳥新社)の中で、「無税装置」と呼んで紹介しています。

 給与から税金を天引きされている通常のサラリーマンには、天国のような話ですが、本当にこんなことが可能なのでしょうか?

「わたしのいう『無税装置』の仕組みはごく簡単。副業をやって、その収入以上の経費がかかれば赤字になる。その赤字を事業所得として、サラリーマンの収入と合わせて確定申告すれば、給料から天引きされていた源泉徴収税が戻ってくるという、税制の基本を活用しているだけの話です。別に悪いことをしているわけはありませんよ(笑)」(SPA!11月4日号より)

と、只野氏は、誰にでも可能なスキームだとサラッといっているのです。

「税金が全額戻ってくるなんて夢のようだ」と思われる方が多いと思いますが、このスキームはまったく新しく、これまで見たことがないというわけではありません。

 例えば、サラリーマンが副業でマンション投資を行うのは、この方法によく似ています。金融機関から資金を借りて、ワンルームマンションを購入し、それを賃貸物件として運用するわけです。そうすると、賃貸料が副収入として手元に入りますが、金融機関への返済金やその他の経費を相殺すると赤字になり、その分を損益通算すると、サラリーマンの給与から徴収された税金(所得税や住民税など)が還付されるわけです。

 当然、赤字額が大きくなるほど、税金の還付額が大きくなり、中には只野氏のように全額戻ってくる人もいるわけです。

 ここで注目したいのは、マンション投資の場合は不動産所得として認識されますが、只野氏の場合には、イラスト描きが「事業所得」として認められているところです。

 なぜなら、これまでサラリーマンの副収入はほとんど雑所得と認識されていたからです。もし只野氏の場合も雑所得になってしまうと、雑所得の赤字は他の所得から、損益通算できませんから、給与所得から源泉徴収された税金の還付は受けられません。

本来なら「事業所得」とは認められない?

 では、なぜ只野氏のイラスト描きが「事業所得」として認められたのでしょうか?(次ページへ続く)


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著者プロフィール

  • 高橋 節男(タカハシ セツオ)

    1949年生まれ。1984年に税理士登録をして、有限会社エムエムアイを設立。1988年に株式会社に変更して、税務・財務・経営にかんするコンサルティングを主な業務とする。
     税理士法人エムエムアイ、ちょうぼ倶楽部、楽天MMI-eshopなどのグループ会社の代表責任者としてエムエムアイグループを統括。個人の確定申告から中小企業の決算作業や経営のアドバイスなど、あらゆる顧客のニーズに応えている。
     また税金や経理について関心の高い人向けに、「Dailyコラム」を毎日、メールで配信中。税金や経理の知識だけでなく、年金問題など一般的な経済のキーワードもわかりやすく解説していると好評を博している。

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