百貨店のお得様用のサービスといえば「外商」だが、以前は外商の営業マンが、高級宝飾類や衣類を持って訪問していた。毎月1回はアタッシュケースに商品をいっぱいにして、お得意様を訪ね歩いていたが、現在では「外商カード」ができて、それを持参するといろいろなサービスが受けられるようになっている。
「店に行くと外商サロンに通されて、飲み物やお菓子がでます。そこで待っていると、いろいろなフロアの担当者が来て、必要な商品を用意してくれます。そこで満足できなければ、店内を案内してもらうこともできます。店内では、すべての店員さんが丁寧にあいさつしてくれるので、社長にでもなったようなとても優雅な気分になれます」 (50代・人材派遣会社社長夫人)
百貨店内での割引はもちろん、ブランドショップでも割引が可能だということで、高額な商品はすべて百貨店で購入する人もいるくらいだ。
「高島屋で買い物をするときには必ず、担当さんに連絡します。電話で安くなるかどうか聞いておくと、後日お値引き価格の連絡をくれます。以前、200万円以上もするローレックスの腕時計を2割引で購入できましたから、とてもうれしかったです」(30代・IT企業役員・女性)
百貨店としては一般客といかに差別化をはかり、上客を囲い込むかあらゆる秘策を考えている。ある新興上場会社の社長夫人は、
「毎月50万円以上買い物をしていたら、高級ホテルのスイートルームに招待されて、高級ワインやオードブルがでてきました。主人とゆっくり堪能していたら、そこにブランド服の最新モデルが登場して、ゆっくりといろいろ試着しながら購入しました。こんな優雅な買い物なら、毎日でもしたいですね」
と楽しそうに語る。
百貨店ばかりでなく、高級ブランドショップも負けていない。いちばん有名なのは、東京・原宿表参道にある「ルイ・ヴィドン・特別サロン」だろう。ルイ・ヴィドングループの日本法人だけのサービスで、入会金20万円、年会費3万円で「CELUX」という会員になると、専用エレベータに乗って専用フロアで、シャンパンを飲みながら買い物が楽しめる。
高品質のサービスは業界の競争の激しさを証明
シャネルでも同じようにVIPルームで買い物ができるし、エルメスはロシアまで買い物ツアーに招待したことあったようだ。
ある高級百貨店の責任者がVIPの中のVIPについて、秘かに話してくれた。
「ある皇族がお忍びで訪問されるときには、開店前にご来店いただきまして、当日は店員だけでなく、事務の社員まで総出でお出迎えします。ご来店と同時に声をそろえでごあいさつできるように、何回か練習しておくこともあります。どの売り場に出向かれてもいいように、すべてのフロアと売り場に店員を配置するのは当然です。それが、当社のステイタスにつながるのですから」。
いやはやすごい話ですが、それだけ百貨店業界の競争の激しさを証明しているのではないだろうか。
『セオリー vol.9』(講談社)















