市場の「ある種の法則」とは以下のようなものだ。
1. リスク回避の高まりは米ドル買い、リスク回避の後退は米ドル売り-その他通貨の動きは概ね米ドルの逆。
2. 市場は当局の動きには従順-昨年10月、11月のRBAによる豪ドル買い介入効果、今月のスイス中銀によるスイスフラン売り/ユーロ買い介入効果、株のショートセル(空売り)規制導入時の株価の堅調、当局の信用収縮回避対策への銀行の協力姿勢、金融緩和実施後の市中銀行貸出金利引下げへの浸透の速さなど。
3. リスク回避時における商品相場の下落と金相場の上昇。特に上チャートで見られるように金相場は逃避的な買いに支えられると同時に、現下の超金融緩和状況が今後インフレ懸念に繋がるとして、インフレヘッジの意味でも買われる。
4. 危機時における米国債を初めとする各国国債への“質への逃避買い”の高まり。
面白いのは1ページの長期チャートを見ると、米ドルインデックスの反発、商品相場(原油など)の下落、米債価格の上昇(利回りの低下)は1997-2000のいわゆるアジア危機時においても顕著であったこと。歴史は繰り返す。
世界景気の回復と共に再びドルの下落は始まるか?
先週米ドルインデックス(トレード比重の高い6カ国通貨で構成)は4.1%下落して83.84となったが、この下落率は1985年9月のプラザG5以来の大きさであるという。
指摘したようにリスク回避の動きが緩和されたための米ドル売戻しという側面は否めない。しかしドル不安材料は尽きないのも事実。上チャートの米ドルインデックスを見ても2000年以降は今回のサブプライム危機での米ドル買戻しを除外すれば基本的に米ドルは減価トレンドにあると言える。ドル下落の予兆は多い。
1. 双子の赤字の復活-米貿易赤字こそ景気後退を反映して一時のピークから半減しているが先日米議会予算局は本年の米財政赤字額を1月時点の1兆2000億ドルから1兆8000億ドルに上方修正した。またAIG処理などをめぐりオバマ大統領の支持率が低下。
2. 1月の対米証券投資は-1489億ドルの流出超と過去最大の赤字となり長期有価証券投資も-430億ドルの売超で12月の340億ドルの買超から急激に悪化。
3. 先週のFOMCでFRBの長期債購入(3000億ドルまで)が決定されたが、これによる長期債利回り低下から海外投資家の米債投資に対する魅力が後退している。
4. 最大の米債保有国中国が米債保有に懸念を表明するなど、今後とも米国赤字補填のための海外からの資金還流が円滑に行われる保証はない。
以上より、少し相場を先読みすれば、「今後の米国経済の回復が財政赤字拡大を食い止める」という青写真が提示されない限り、現在起こっている「リスク回避後退による米ドル売り戻し」が、「本格的な米ドル売り」へと繋がっていく可能性も否定できず、注視する必要があろう。
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