昨年発生した世界金融危機の影響で損失を被ったのは企業や個人投資家だけではないようだ。有力私立大学の間で資産運用の評価損の膨らみが徐々に明らかとなってきた。
上智大学は国内株式相場の大幅な下落と海外金利の低下などが08年度の資産運用に大きく影響し、3月末時点で評価損が110億円程度にのぼった。09年度は資産運用はリスクを十分考慮した分散投資を徹底し、安定的な収入を上げることを目指すが、多額の損失を取り返すのは容易ではなさそうだ。
私大の中でもひときわ大きな損失を被ったのが、慶応義塾大学だ。早稲田大学は28億円の評価損にとどまった一方、慶応義塾は昨年9月に発生したリーマンショックなどによる世界的な株価の大幅下落と急速な円高の影響を受け、保有する有価証券の時価評価が大きく下落し、早稲田の19倍もの規模となる535億円の評価損を計上した。
なぜ大学が資産運用に手を出していたのだろうか。教育を基幹事業とする大学だが、国内の少子化の影響で学生が減ったことで授業料収入の減少が経営上の問題となっている。そこで近年では米国のハーバード大学などにならって積極的な資産運用に取り組み収益を狙う大学が増えている。慶応義塾はその積極運用が裏目に出たケースだといえよう。
すでに昨年末には立正大学や駒沢大学が資産運用で100億円を超える評価損を抱え、報道もされたが、今回の金融危機のような運用環境が一変した際にリスク管理をどう行うのか、大学経営の問題点として浮き彫りとなってきた。
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