日経平均1万円超えの真相
12日の東京株式市場で日経平均株価は1万円を超え、約8カ月ぶりに大台に乗せた。今年3月につけたバブル崩壊後最安値から株価は4割以上も急上昇しており、市場では株価の本格回復への期待が高まっている。
しかしなぜこれほど驚異的な回復を見せたのか、その理由がわからない個人投資家からは疑問の声も聞かれる。また今後の日経平均はどこまで上昇する可能性を秘めているのだろうか。カブドットコム証券の人気ストラテジストの河合達憲氏に緊急取材を行った。
河合氏は日経平均が1万円の大台に回復した理由を次のように説明する。
「まずはチャートを見ていただきたい。昨年1万円割れとなった10月8日から、約8ヶ月間と長い間日経平均は4ケタ台が続いてきました。株価が上昇したのは金融危機から離脱し、景気回復に対する期待が基本にありますが、チャートをテクニカル分析した場合には、昨年10月と今年3月に2回の底を確認して反騰してきた。とくにゴールデンウィーク後に11月5日以来の9500円超えをはたしたことで、株価に勢いがつき、一気に1万円台を突破しています。まさに教科書通りの動きといえるでしょう」。

年初にも1万円台突破の可能性はあった。1月に9500円を突破していれば、そのまま1万円付近まで株価が上に抜けたかもしれないが、1月7日に9300円付近まで上昇したところで株価は勢いを失ってしまった。その後3月にバブル崩壊後の最安値を記録したが、ゴールデンウィーク後に9300円を超えた勢いでそのまま1万円を突破した。
河合氏は米ゼネラル・モーターズ(GM)の破綻が投資家の心理に最小限の影響で済んだことも株価の上昇を後押ししたと話す。
「今回のGMの破綻処理ではオバマ大統領の手腕が光りました。去年から時間をかけて事前調整型の破綻処理を周到に進めてきた。そのおかけで先月のGM破綻のニュースで驚く投資家はいませんでした。これが昨年末あたりに唐突にGMを破綻させたら金融ショックの波はさらに広がっていたでしょう」。
昨年10月にリーマン・ブラザーズの破綻で始まった金融危機による株価下落は、GMの破綻が発表された時期に金融危機前の水準まで戻した。2つの破綻が株価下落と上昇のキーポイントとして見ることができる。
「日経平均は年末に1万2000円に」
さて気になるのが今後の展開だ。
投資家が先行きの世界経済の底入れを見越し、景気回復期待から投資意欲が戻ってきたのは事実だが、実際の景気が追いついてきていないとの懸念もある。今後日経平均が1万1000円、2000円と上昇していくシナリオが見えないと感じる投資家も多いのではないだろうか。
河合氏も日経平均が底値から4割強の上昇を見せたことで市場に達成感のようなものが広がっていると指摘する。だが年末をめどに日経平均は1万2000円まで上昇すると予測する。
「今回株価の上昇の原動力となったのは個人投資家です。本来、市場のキープレイヤーは外国人や機関投資家ですが、彼らは今回市場に参加していない。彼らが戻ってきた時に株価は一段と上昇を見せるでしょう」。
だがもし外国人や機関投資家が日本の株式市場に魅力を感じずに戻ってこなかった場合はどうなるのか。
「その場合でも景気回復によって株価の上昇は続くでしょう。年初から日本企業はひらすら在庫調整とコストダウンに励んできました。生産活動は停止状態だったと言っていいでしょう。それが09年度の第1四半期である4~6月から在庫調整にめどがつき、生産を再開させたり、回復させる企業が増えてきました。多くの会社が昨年から冬のきびしい時期に無駄を省いた筋肉質に企業体質を転換させており、より利益の出やすい体制に生まれ変わっています」。
もしトヨタ自動車やキヤノンなどの大企業で年内に決算の上方修正が相次くようなことが起きたら、投資家心理に大きな影響を与えることは間違いない。
「このような理由から、日経平均は年内に1万2000円に到達すると期待できるでしょう。たとえ年内を逃しても来年の3月には突破できるシナリオが今の日本市場には描けると思います」。
6月12日に再び1万円台に乗せた日経平均。河合氏の読みどおりに今後展開すれば、年末までにさらに多くの個人投資家が市場に戻ってきそうだ。
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