米スターバックスがトヨタ生産方式「カイゼン」活動で業績を急回復させた。だが効率化重視にブランド失墜を危ぶむ声も出ている。



 米紙ウォールストリート・ジャーナルは今週に入って、米コーヒーチェーン大手スターバックスが「トヨタ生産方式」に準じた形で秒単位の改善活動を推進し、大幅な業績回復につなげていると伝えた。

 スターバックスが先月発表した2009年4~6月期の最終損益は、1億5150万ドル(約144億円)の黒字(前年同期は670万ドルの赤字)。同社を業績悪化から脱出させたのはいまや世界でも通用する言葉となった「カイゼン(Kaizen)」だ。

 これまで見過ごされていたムダを減らすために、日本のトヨタ自動車本社での勤務経験を持つ米国人が「カイゼン」をアドバイス、10人余りのスタッフが現場に伝えるため全米の店舗を飛び回り、指導に当たっている。

 カイゼンの内容としては、たとえば商品の材料をできるだけ近い場所にまとめたり、提供するコーヒーの種類が一瞬でわかるように色別のラベルを張ることなどだ。トヨタが工場で実践しているように、ストップウオッチ片手にムダを省きながら注文をさばく時間を短縮していったという。その結果、オレゴン州の店舗では1つの注文を平均25秒でさばけるようになり、客の増加にもつながった。

 スターバックスは昨年の4-6月期決算で1992年の株式公開以来、初めて赤字に転落したが、こうした地道なカイゼンに加え、経費削減や不採算店舗の閉鎖を進め、さらに税率の低下や金利収入の増加などが貢献したことにも助けられ、今回大幅な回復が実現した。

 しかし業績が回復した一方で、現場からは不満の声も聞こえてくる。従業員の中には効率化を追求しつづければ「コーヒーショップを工場に変えてしまう」と危機感を訴える者もいるという。

 同社は70年代にシアトルから生まれたおしゃれなプレミアムコーヒーショップとして登場し、安物のコーヒーが定番で時間潰しにしか使われなかった従来のコーヒーチェーンのイメージとは一線を画したマーケティングでファンを獲得してきた。しかし効率優先が過ぎれば、単に高いコーヒーを売るファーストフード店になってしまう可能性もあり、ファンとなっていた客を逆に減らしてしまう事態になりかねない。今後はカイゼンを継続しつつもスターバックスのブランド力を損なわないバランスが求められそうだ。

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