ドバイがどうなってるのか良く分からない件
えー。MONEYzineではほぼ隠れキャラ的な状況になっております山本一郎でございます。本サイト読者の皆さま、ご無沙汰しております。
このところ、ドバイ経済関連の投資相談が大変多く、とはいえ私自身はドバイに行ったこともなくドバイ投資のメインストリームからは外れているのですけれども、いわゆる金融センターとしてのドバイの地位は「言われているほど必ずしも安定していない」とずっと思っているので、どちらかというと「さっさと投資を引き上げて帰って来い」と言い続ける立場です。
今回のドバイワールドにおける返済猶予の要請というのは、タイミングから見ても内容としても実に面妖な事件でありました。ドバイ経済の「事情通」やドバイ専門の投資会社が昨年のリーマン後のドバイバブルを脱したと喧伝していたんですけど、今回のドバイワールドで実際に株価の大幅な下落や、危機意識をもったクライアントの脱ドバイの動きで急激にキャピタルクランチをしてしまっているところがあります。
もちろん、順調に資金が運用できている会社はあるようですが、ドバイに対して詳しく、深く経済依存をしていた会社ほど、今回のダメージが大きいという類の事件になったのではないでしょうか。
■参考記事
ドバイ・ショックによる円高進行の影響 想定レート大きく外れ輸出企業に動揺
さまざまな観測は飛び交っていたのですが、証券会社やドバイを専門とする投資会社の連中が総じて言うには、概ね「バブルは弾けた論」と「再調整にすぎず調達はまだできる論」の2つに分かれます。まあ、投資話ですから強気と弱気に分かれるのは当たり前のことなんですけどね。
ただ、ドバイというそもそも経済圏人口の少ない中東の金融センターという売りで資金を世界から集めていた拠点が、政府系の開発会社の返済猶予の要請報道で桁外れの危機に陥ってしまう理由は、こちらもパラレルに2つあります。
ひとつは「みんなが思っているほど中東投資の拠点にはなってなかったんじゃないの?」という点。もうひとつは「結局、本当の金持ちであるアブダビ投資庁はドバイを支える気なんて最初からなかったんじゃないの?」という点。
もともと、オイルマネーという幻想については日本人も欧米人も過大に考える傾向が昔からあります。いや、凄いは凄いです、オイルマネー。ただし、オイルマネーというのは中東各国の基礎経済があって、そこに市場に基づいた原油(WTI)輸出というファクターが組み合わさって、余剰資金が常に生まれる状況があるため「常に買い手」であるから注目される存在だということです。
つまり、産油地であっても人口が大きく国内産業の自律的な運営に失敗している国とか、地政学的に不安定で優秀な油田は複数持っていてもロシアや中国などの影響力を排除できない国とかは、原油相場が高値で張り付き好調でない限り投資に回せる資金はそもそも少ない。金持ちになりうる極一握りの中東国が特定の金融機関の上得意であり続ける状況がオイルマネーの存在を際立たせているが、では中東の金融センターの本来のニーズとどれだけ合致しているかと言われると、これは謎です。
いわゆる石油戦略と言われるものの大半は、これらの基礎的な知識に基づいた、それほど太くはないが無視できない資金と資源の流通を監視することにあるのですが、ゲームのルール自体は冷戦があろうがなかろうが、世界経済が成長しようがしてまいがそれほど大きくは変わっていません。
■参考図書
『世界を動かす石油戦略』(ちくま新書) 石井彰,藤和彦(著)
UAEや周辺は中東でも随一の金余り国
ただし、世界的な金余りがあり、それに呼応するように成長市場を探す動きが投資界隈で蔓延した挙句、ラストリゾート的にドバイが注目されるのにはそれなりの理由はありました。(次ページへ続く)
















