銀行のからくり
前回は、銀行が実は危うい前提の上に成立していることを紹介しました。簡単に言えば、銀行は預金者から、「いつでも好きな時に引き出せる約束で」お金を集め、それを融資に回しているのです。定期預金であっても利息さえあきらめればいつでも解約できる契約です。
これが個人同士で本やDVDを貸し借りするのであれば、返してほしいと言われればいつでも返す約束で借りたものをさらに「又貸し」しているようなものですから、道徳的にはあまり褒められた行為ではないように思えます。
しかしこれは世界中どこでも、銀行業始まって以来ずっとやっていることなのです。「金を融通」することが金融の基本ですから、それ自体が悪ということはもちろんありません。
また、融資によって銀行の外に出たお金は、いろいろな取引を経て再び預金の形で銀行に戻ってくる循環が繰り返されることによって、最初に存在していたお金はその何倍もの規模で世の中をめぐることになります。これは信用創造という銀行の重要な機能で、これも前回に紹介しました。
専門的な用語では、最初に存在していたお金をマネタリーベース、信用創造で増幅されたお金をマネーサプライと呼びます。
国民の定期預金を国債で運用する銀行
さて、いよいよここから国債の話に移ります。国債の発行残高がいまどんどん増えていることは皆さんご存じと思いますが、この国債のもっとも主要な買い手は銀行です。銀行からしてみれば、手持ちのお金の運用益から、預金者へつける利子、銀行員の給料、店舗の家賃といったものをいろいろ払わなくてはいけないのでこれは大事です。
銀行の本業は、一般の企業や個人へ融資することです。しかし企業の場合、倒産して貸したお金が回収できなくなる危険があります(なので危ない企業には貸しません)し、そもそも長引く不況のため、融資を受けてでも事業を拡大したい企業は以前ほど多くありません。また大企業なら、社債の発行や増資などの、銀行に頼らない資金調達手段もあります。
なので銀行からしてみると安心して貸せる相手が少ないので、手元に資金が余っているわけです。こういった事情があるので、国債を買うことは銀行にとっては魅力的です。企業への融資ほど金利はつきませんが、貸し倒れの危険は一般企業に比べればはるかに少ないからです。
なお、大手都市銀行の10年物の定期預金金利はいま0.5%程度です。一方、10年物国債は1.3%程度で推移していますので、銀行は定期預金でそのまま国債を買えば無条件で差額の0.8%分の金利を手にします。預金者には国債の金利の半分も渡さないのですからまったくひどい話なのです。
ところで、国債を購入する形をとって銀行から政府へ移動したお金はどうなるのでしょうか? 政府予算の中身を見ると、あまり有効な使い方をしているようには見えませんが、今日の議論に関しては使い方は実はどうでもよいのです。
国に渡ったこのお金は、公共事業によって建設業者のところに行く分もありますし、年金によって一般個人のところに行く分もあります。あるいは、天下り役人の退職金になることや、何か表に出ない事情で闇に消えることもあるかもしれません。
「ネズミ講」と化した日本国債
しかし、どのような経路を取るにしても、やがてその大部分は預金の形で銀行の手元に戻ってくる、というところが重要です。(次ページへ続く)














