はっきり言って、もう日本の財政運営は空中でエンジンの故障した飛行機のようなものです。いずれ墜落か、運が良くても海上に不時着する運命ですが、この来るべき混乱において、我々はどのように行動するべきでしょうか。(バックナンバーはこちら



財政支出では景気回復に効果は期待できない

 前回は、国民、銀行、政府の3者で資金をぐるぐる回して何とかこれまでやりくりしているうちに国債残高が膨れ上がってきた構図について解説しました。その後、僕も同様の議論をしているブログ等をいくつか読みましたが、この手の議論が好きな人はかなりの数がいるみたいですね。関心の高さがうかがえます。

 中でも、積極的に財政支出をすれば景気が回復するといまだに信じている人がいるのはなかなか驚きでした。理論的根拠が何であっても、その手法は過去20年近くやって効果がなかったのは歴史が証明しているのですから、そろそろいい加減あきらめるべきではないかと思います。

 しかし、政府がどのような政策をとるべきかを議論するのはこの記事の趣旨ではありません。我々庶民がどんな議論をしたところで、所詮は床屋政談の域を出ませんから政策に与えることの影響はゼロですし、そもそもこの連載のテーマはシステムトレードです。優れたトレーダーは、「今後どうなるか」を冷静に読んで利益を上げるのであり、「今後どうなってほしいか」とは完全に思考を切り離さなければならないのです。

 政府が破綻しようとも自分が破綻しなければ、新世界のもとでどうにか生きていく道はあるというものでしょう。

 ところで、去年の12月30日の日経新聞一面トップに次のような気になる記事がありました。

国の借金、家計の貯蓄頼み限界 個人資産の7割に

 

 

 政府が家計の貯蓄に頼って借金を重ねる構図に限界がみえ始めた。政府の負債残高が膨張し、9月末は家計資産に対する比率は66%まで上昇した。これは過去最高の水準だ。今後も政府負債の膨張が止まらず、少子高齢化を背景に家計の貯蓄が減少に向かえば、2020年までに家計資産を逆転する可能性もある。家計の高貯蓄という日本経済の強みは薄れつつあり、財政の抜本改革が急務になっている。

 政府は歳出のうち税収などで賄えない分を国債発行で穴埋めする。国債発行は1990年代以降の景気対策の財源を賄う目的で急増した。 (2009年12月30日 日本経済新聞より)

 これは僕にとってけっこう衝撃の内容だったので保存してあるのですが、紙面では政府債務と個人金融資産の残高の推移がグラフになっていて、ここ10年程度は、個人金融資産も伸びてはいるものの政府債務の伸びよりは明らかに小さくなっていました。

 これの意味するところは、表にあるような三角形の循環において、政府が支出して国民に渡ったお金のうち、銀行預金という形では残らない分がすでにかなりの割合で存在するということを意味します(表参照)。

 もう循環は崩れ始めているのです。確かに、今後老人が増えれば貯金を取り崩して生活する人が多くなるわけですし、働いている人の平均所得も下がっているのでそれは自然かもしれません。

 記事中の予測が本当であれば、2020年までには確実に、政府が発行したい国債の金額に対して、銀行の持っている買付の余力が少なくなっていることになるので、かなり深刻な事態になるでしょう。いずれそういう事態に陥るのは確実だろうと思っていましたが、2020年とは予想をはるかに超えて早いです。

 はっきり言って、もう日本の財政運営は空中でエンジンの故障した飛行機のようなものになったと思います。いずれ墜落か、運が良くても海上に不時着する運命ですが、そういう状況であってもまだ乗客は皆無事に生きており、最善の脱出策を考えているところでしょう。

どのような投資戦術をとるべきか

 さて、ここからが本題です。この来るべき混乱において、我々はどのように行動するべきでしょうか?(次ページへ続く)



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財政支出では景気回復に効果は期待できない

どのような投資戦術をとるべきか

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プロフィール
岡嶋 大介オカジマ ダイスケ

 1976年東京生まれ。人気無料ソフトウエアのOmegaChart (オメガチャート)の作家。本業はソフトウエア作家だが、日経平均オプションを主力とする投機活動全般から長期投資まで行う投資家。現在約4,000万円を激しく運用中。人気ブログ「人生を書き換える者すらいた。」も更新中。


本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る


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