登山で遭難が増えている。ひとたび遭難となれば、登山者が負担する費用も多大で、こちらは山岳保険への加入が推奨されている。では逆に助ける側はどうなっているのか。
長野県では、助ける側の予算面に疑問の声が上がった。北、中央、南アルプスや八ヶ岳など人気の山岳エリアを有する同県には、年間約60万人の登山者が訪れ、登山者だけで約224億円が消費されるという。しかし、比例して事故も増加。昨年度の遭難発生件数は、都道府県別ワースト1の213件に上った。
長野県の場合、長野県警山岳遭難救助隊(隊員数27名)における年間活動予算は、昨年度は約121万円、そして今年度は約184万円。この予算内で、実際の遭難救助からパトロール、そして救助訓練や備品調達が行われている。また長野県には、民間で組織する山岳遭難防止対策協会もあり、こちらの昨年度予算は、人件費などを含め年間約3900万円だった。
長野県で9月に実施された信州型事業仕分けの席上では、遭難救助費用がやり玉にあがり、要改善との判定が下った。議論の場では、8割以上を県外者が占める遭難者の対策として、山の有償化でまかなうことや民間の救助システムを確立すべきだとの意見が出たようだ。
登山の有償化は、長年議論されているにもかかわらず、いまだに各地で具体策が進んでいないのが実情だ。ただ救助システムについては、同じ長野県で新しい取り組みが始まっている。
先頃、雪崩他の災害救援活動を行う認定NPO法人ACT(長野県白馬村)は、日本初の山岳遭難救助に特化した、会員制ヘリコプターレスキュー事業を開始すると発表した。年会費1万円(予定)を納めて会員になると、現行、民間で100万円単位の金額が必要とされる、ヘリコプター救助費用が一切かからないというもの。ACTでは、初期投資と運営費、合計6億円を調達すべく、各方面からの寄付や援助を募っている。なお、事業の運営維持に必要な会員数は最低2万人だそうだ。
また、全国で広がりつつあるのが登山届の簡素化だ。万一の際、探す警察にとって遭難者の貴重な情報となる登山届だが、義務ではないため、ほとんどの登山者が提出しない。そこで、今秋から埼玉県警や滋賀県警では、携帯電話で必要最小限の項目を入力し、送信するだけで完了となる登山届システムを導入している。
雪に覆われた山は神々しいほどに美しい。しかし、いったん天候が悪化すれば、大自然の猛威にさらされる。山での勇気は、進むことより引き返すことにあるともいわれる。救助側の負担を知り、引き返す選択肢を持ってから、登山に臨んでほしい。
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