最高税率引き上げも、富裕層は怖くない?
日本では相変わらず、政局がらみで不毛の争いが繰り返されていて、被災地の復興は一向に進んでいない。国家財政が危機に際しているにもかかわらず、税制改革はなかなか進まず、消費税談義も与野党の話がまとまらないという状況だ。
そんななか、民主党税制調査会では、所得税の再分配率を高める狙いで、高所得層ほど負担が高くなる累進性を強める方針だ。これまでの最高税率40%を45%に引き上げ、給与所得3,500万円以上の人に適用する予定。対象者は約50万人で、税収は1,600億円増えるという試算だ。
所得税の最高税率は、1974年の75%をピークに段階的に引き下げられ、99年には最低の37%になった。しかし、小泉改革で格差が拡大したという批判もあり、2007年から引き上げに転じている。現在、各国の最高税率は、米国35%、フランス41%、ドイツ45%、英国50%で、これまで40%だった日本は、格差社会を形成していた欧州各国より低い水準にあったといえる。
とはいえ、45%に引き上げられても大勢には影響なく、欧州並みの水準になるだけである。欧州が階級社会であることは、ご存じのとおり。富裕層には、富裕層しかしらない、富裕層で在り続ける方法があるのだ。おそらく日本の富裕層も、社会の風潮を先取りして、いろいろと先手を打っているに違いない。
オリンパスの319億円がタックス・ヘイブンに流れて消えた!?
節税は富裕層の得意技のひとつであり、そうしたサービスも充実している。オリンパスの損失隠し事件でクローズアップされた、タックス・ヘイブン(租税回避地)のケイマン諸島には、租税回避を支援するサービス会社が多々存在している。こうした企業に依頼すれば、タックス・ヘイブンに法人登記をしたり、銀行口座の開設をしたり、オフィスを開設してスタッフを常駐させたり、租税回避のためのいろいろな“アリバイ”作りをしてくれる。
企業として実態があるように、そして個人なら現地で生活しているように見せかける“お手伝い”をしてくれるのである。さらに、弁護士も在駐しているので、いざというときには法的な支援も受けることができる。
今回、オリンパスが損失穴埋め資金を経由させた複数のファンドのうち、319億円が流れたファンドの所在地をたどると、ある国際法律事務所に行き当たる。この事務所は、ケイマンに籍を置く法人の代理人として、設立や運営を手助けして、膨大な手数料を受け取っていたのだ。
ケイマンに籍を置く法人の登記簿の住所には、私書箱の番号が添えてあり、島の唯一の郵便局に行くと、無数の私書箱がびっしり並んでいて、各法人の代理人である法律事務所などが、郵便物を回収している。 日本からも企業だけでなく、富裕層と称される個人も多くの金融口座を開いているといわれている。(次ページへ続く)







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