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人類最大の発見と言われた「複利」の誤解

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2012/02/17 10:00

預金では複利は有効だが、株式やコモディティ投資に複利運用の概念は通用しない。そのワケは…(バックナンバーはこちら)

複利試算の3つの誤解?

 アインシュタインが「人類最大の発見」と言ったとされる「複利の効果」は、確かに高利率の借金が返済できない額に膨れあがってしまったり、公的機関の借金が1000兆円を越えた状況で今後金利が上がれば大変な状況になったりするという意味では、「非常に強力」といえるでしょう。

 一方、投資の世界で一般に広く喧伝されている「長年運用していれば複利効果でメリット大」と言えるかどうかは、実は誤解が多く注意が必要と言えます。

 年利7%で10年間運用すれば、1.967倍で約2倍になります。ちょっと下がって5%でも10年間なら1.628倍となりで6割強も増えます。だから、「投資もコツコツ長期で運用するのが良い」というのが、随所で耳にする説明のように思われます。

 しかしながら、投資利回りの皮算用に複利の試算をそのまま用いるのは、以下の3つの理由でちょっと危険です。

リターンの凸凹が極めて大きい

 まず、投資は預貯金と違って、安定して年X%の収益を得られるということはありません。「ゆっくり上がってガツンと下げる」ことが一般的で、極めて良い年もあれば著しく悪い年もあります。例えば、2000年から2011年までの日経平均の年間騰落率を見ると、下記のように凸凹が極めて大きく、単純に○年運用すれば平均リターンの累乗というわけには行きません。

 このようにリターンが凸凹の影響があまりにも大きいため、計測期間の取り方、つまり「いつ投資を始めて、いつ止めたか」ということで、投資パフォーマンスが大きく変わってしまいます。日経平均のリターンの場合には、2000-2002年の下落と2005年の40%の上昇を含むか否か、2008年の-42%の暴落を入れるかどうかで10年間の長期リターンが大きく異なっています。

ドカーンと下げた時に資金ニーズが生じることを無視

 預貯金は金融機関の破綻が無い限り元本保証で、ショックの時に投資をやめてもそれまでのパフォーマンスに影響を与えることはありません。一方、株式やコモディティが大きく下げた時は市場ショックや自然災害などの突発ショックが発生しているときであり、実際に資金が必要となる可能性が高くなります。つまり、最悪のタイミングで投資を止めなければならないことになり、これが運用成績を大きく押し下げることになってしまいます。

平均してマイナスリターンを想定していない

 一般に複利の効果のメリットを論じる際には、マイナスリターンを想定してはいません。「3%で10年運用したら」などというのはよいのですが、「-5%で10年運用したら」と考えれば、投資すればするだけ雪だるま式にパフォーマンスが悪化します。

 特に日本のように人口減少社会で経済の規模が縮小する環境は、川の流れに逆行して泳いでいるようなものです。どっぷりつかって下流に流されるよりも、流れの状態の良い時だけ泳ぐか、もっと条件の良いところで泳ぐことを考えたほうが合理的と思われます。なお、日本だけでなく、韓国、中国、欧州も高齢化の過程にあるので、ますます株式リターンの複利試算の前提が通用する場所が少なくなってきていることに注意しましょう。

投資に活かすなら

 上記のように株式やコモディティに投資する際には、「○%の運用リターンで□年運用したらいくらになる」という皮算用は通用しにくく、特に日本のように社会構造が大きく変わっている状況ではあまり意味が無いと考えられます。

 だからといって、預貯金だけにしておくのも日本の財政破綻のリスクを考えるとかなりリスクを取っていることになります。万が一、第二次大戦後の日本のようにハイパーインフレになればお金の価値が激減しますし、そうでなくともアジア危機の際の韓国や直近のギリシャのように国家的な危機になる可能性も無視できません。

 そう考えると、投資はしっかり行うものの、単純に「複利効果」を期待して何年も塩漬け株を保有することは避けるのが得策といえます。具体的には、eワラント、トラッカーや新興国株式などを上手に使って、「チャンスだけに投資」、「悪い時は見送る」、「ショックに備えるバッファを持つ」というサバイバル投資を実践していく必要性がますます高まっているように思われます。

 次に話題を変えて、「誰もが納得する銘柄のワナ」についてお話しましょう。金融商品にプレミアムとか厳選という名前が付いていたら要注意です。裏の事情を考えてみればすぐに分かるリスクがあるのです。(次ページへ続く)


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