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テーパリングへの布石か?
日銀の政策変更を踏まえた投資戦略

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2016/10/04 08:00

 日銀は、9月に発表した金融政策で、目標を「量」から「金利」に変更しました。「テーパリング(緩和縮小)」、またはその布石なのかを検証します。

日銀はテーパリングに足を踏み入れた?

 9月の日銀金融政策決定会合にて「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入が決定された後の金融市場は、株安・円高方向に動きました。日銀の新しい政策は、「量」から「金利」に目標を変えていることから、テーパリング(緩和縮小)またはその布石と見る市場参加者もいるようです。

 今回の日銀の政策決定をテーパリングと捉えるのであれば、量的緩和政策導入時に有効であったリスク性資産を長期保有するという投資戦略ではなく、長期的には円高や株安を前提とし、これを補完する形で短期的な相場の波を捉えて大きなリターンを狙う投資戦略が有効かもしれません。

国債消化への影響

 財務省が開示している今年3月末時点の「国債等の保有者別内訳」を見ると、日銀の国債保有残高は約317兆円であり、全体の3割を超えています(図1)。日銀は量的緩和政策を続けているので、現時点ではもっと増えているものと考えられますが、日銀が市場から買い付けできる国債の量には限界が来ているかもしれません。

 今年7月に三菱東京UFJ銀行が、国債市場特別参加者資格、いわゆるプライマリー・ディーラー資格を返上しました。プライマリー・ディーラーは財務省が開催する会合で意見交換ができるなどの特典がある代わりに、国債の応札しなければならない責任などがあるものです。同行が資格を返上した理由としてグループ内の業務や機能の集約という点をあげています。あくまでも推察ではありますが、背景のひとつに長期金利の上昇懸念もあるかもしれません。現在は長期金利がマイナスですが、これは異常事態ともいえます。今後長期金利が上昇して正常化すると、銀行が保有する国債に評価損が発生する懸念があります。

 現状は国債消化に関して大きな問題にはなっていませんが、今後大手行のプライマリー・ディーラー資格の返上によって、国債の消化が難しくなるかもしれず、結果として日銀が銀行から買い付けできる国債が将来的に不足するという自体も想定されます。

 7月の日銀金融政策決定会合で「総括的な検証」を行うことを発表したのは三菱東京UFJ銀行のプライマリー・ディーラー資格の返上後のタイミングであったことと、9月に量的目標から金利目標に政策を変えたことから察するに、日銀は国債消化を懸念し、量的緩和よりも長期金利を浮上させて国債消化を優先するという隠れた意図もあったかもしれません。


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著者プロフィール

  • 小野田 慎(オノダ マコト)

    eワラント証券 投資情報室長。一橋大学法学部卒業後、大和証券投資信託委託に入社、投資信託の開発業務に携わる。2005年からイボットソン・アソシエイツ・ジャパンにて金融機関向けのコンサルティング、企業等の評価に用いる資本コストの分析業務、投資信託の定量評価、現代ポートフォリオ理論に基づいたアセット・アロケーション(資産配分)に関する投資助言を行う。ゴールドマン・サックス証券を経て2011年8月より現職。ポートフォリオ構築の専門家としての経験を活かし、幅広い資産の分析を行う。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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