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トランプ大統領が戦争を始めたら? ブッシュ時代の戦争と株式市場を振り返る

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2017/03/02 08:00

 トランプ大統領が本格的な軍事行動に出る可能性が高まってきました。今回は米国が地上軍を派遣した2003年のイラク戦争と株式市場の動きを振り返ってみましょう。

イラク戦争前後の株式市場の動き

 トランプ大統領は大統領令においてイラクとシリアに展開しているイスラム国(IS)の掃討計画を国防長官に命じており、トランプ大統領がISに対して地上軍を派遣して本格的な軍事行動に出てくる可能性が高まっています。万が一の事態に備えて、過去の事例を確認しておくことは有益かもしれません。米国が地上軍を派遣した直近の戦争として2003年のイラク戦争が挙げられます。

 図1は日経平均株価とダウ・ジョーンズ工業株価平均の推移を2000年末から2004年末まで見たものです。当時の米国の経済状況を振り返ると、1990年代の株価上昇から2000年に株価が下落に転じ、2001年ごろになると失業率が上昇するなど、実体経済においても景気後退を感じ始めたころです。そんな中、2001年9月11日に米国同時多発テロが起きて一時的に株価は大きく下落しました。

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 アフガニスタンを支配するタリバーンが、テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディンの引渡しを拒否したことを受け、同年10月7日、当時の米国大統領、ジョージ・W・ブッシュ氏は英国とともにアフガニスタンに対する空爆を開始。2001年12月7日にはタリバーンがカンダハールの最後の拠点を放棄し、アフガニスタン紛争は区切りを迎えましたが、翌2002年1月29日にブッシュ大統領が議会向けの一般教書演説において北朝鮮、イラン、イラクの三カ国を「悪の枢軸」と非難し、当時フセイン大統領政権下にあったイラクに対する戦争の開戦が意識されるようになりました。

 2003年3月17日には、米国が先制攻撃としてイラクを空爆。ブッシュ大統領はイラクに対して最後通告を行い、同月19日には米英などが「イラクの自由作戦」と称してイラクへの侵攻を開始しました。2003年5月1日にブッシュ大統領は早々に大規模戦闘終結宣言を出しましたが、アフガニスタン同様、イラクでの戦闘はフセイン政権を崩壊させた後も断続的に発生しました。イラクでは治安の悪化が深刻化し、新しくできた政権も安定しているとは言い難い状況のままです。米国はイラクからの撤退を幾度となく試みていますがいまだに完全撤退はできておらず、その間にISが勢力を拡大するなどして現在に至っています。

当時の株式市場

 株式市場は2001年の9・11テロで大きく下落しましたが、2002年の前半までは反発トレンドが続きました。これは米国において住宅市況の活況が続いたことや、自動車メーカーがテロで落ち込んだ消費マインドを押し上げるために積極的な販売奨励策をとったためだと考えられます。しかし、米国の新車販売台数は販売奨励策の甲斐なく2002年から2003年と減少を続け、株価も2002年後半から失速しています。背景として、2001年12月2日に巨額の不正会計問題を起こしたエネルギー大手エンロンが破綻したことや、2002年7月には長距離通信大手ワールドコムが粉飾決算の発覚をきっかけに破綻したことで、投資家の間で企業会計に対する不信感があったことも挙げられます。失業率の上昇(2001年末5.7%→2002年末6.0%)も消費マインドを冷やし、株安に影響したものと考えられます。

 その後、ダウ・ジョーンズ工業株価平均は米英などがイラク侵攻を始めた2003年3月が底となりました。これは侵攻前から戦闘は数カ月の短期決戦となることが予想されていたためで、いざ戦闘が始まると企業や家計のマインド悪化も改善に向かったことや、戦闘により将来のテロ発生が抑止されることへの期待や、防衛予算の拡大によるGDP押し上げ期待などがありました。さらにブッシュ大統領は2003年1月に減税政策として2001年に決定した減税措置の前倒しと配当・キャピタルゲイン税率の引き下げなどの減税策を明らかにしたことも株価上昇の追い風となったものと考えられます。


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著者プロフィール

  • 小野田 慎(オノダ マコト)

    eワラント証券 投資情報室長。一橋大学法学部卒業後、大和証券投資信託委託に入社、投資信託の開発業務に携わる。2005年からイボットソン・アソシエイツ・ジャパンにて金融機関向けのコンサルティング、企業等の評価に用いる資本コストの分析業務、投資信託の定量評価、現代ポートフォリオ理論に基づいたアセット・アロケーション(資産配分)に関する投資助言を行う。ゴールドマン・サックス証券を経て2011年8月より現職。ポートフォリオ構築の専門家としての経験を活かし、幅広い資産の分析を行う。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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