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イールドカーブから米国景気の先行きを探る

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2017/05/01 10:00

 トランプ大統領が就任して100日が経ちました。米国景気の先行きと投資戦略を考えるため、日米のイールドカーブの変化に注目して分析してみましょう。

米国のイールドカーブは大統領選挙後にスティープ化

 トランプ氏が大統領選挙に勝利した直後、米国では長期金利が上昇しました。これは当時、米国景気の先行きに対する期待から、米国債を売って株式を買うという動きが強まったためと考えられますが、最近では長期金利は低下に転じています。

 一方で、FRBによる追加利上げが意識され、短期金利も上昇しています。長期金利は短期金利を上回るのが一般的ですが、短期金利が長期金利を上回る、いわゆる「逆イールド」の状況になると注意が必要です。現状では長期金利と短期金利の差(以下「長短スプレッド」といいます)は依然としてプラスですが、米国では過去に「逆イールド」の状況が発生し、その後に株価がピークをつけるということが発生していました。

 図1は日米のイールドカーブ(年限の異なる国債の利回りを線で結んだもの)の変化を、米国大統領選挙後の2016年11月末時点と2017年4月21日時点で比較したものです。通常、債券の残存期間が長くなるほど利回りは上昇するので、イールドカーブは右肩上がりとなります。また、イールドカーブの形状は経済動向に応じて変化します。

 長期金利が短期金利に比べて大幅に高い状況では、イールドカーブの傾きが急となり(スティープ化)、逆に長短スプレッドが縮小する状況では、イールドカーブの傾きは緩やかになります(フラット化)。また、ごく稀に短期金利が長期金利を上回り、右肩下がりのイールドカーブとなることもあります。いわゆる「逆イールド」と呼ばれる現象です。

 米国のイールドカーブの形状は米国大統領選挙前後で大きく変化しました。トランプ氏が勝利したことで景気拡大への期待が高まり、米国債から株式への資金移動があったとみられ、長期ゾーンを中心に上昇し「スティープ化」しました。短期ゾーンでも上昇していますが、この背景としてはFRBによる政策金利の引き上げと、今後の追加利上げが意識されているためと考えられます。

 しかし、直近ではイールドカーブの形状は「フラット化」しています。トランプ政権への期待が薄れ、株式から米国債への資金移動が生じていると考えられます。今後イールドカーブの形状がさらに変化し、長期ゾーンよりも短期ゾーンのほうが大きく上昇し、さらに長短スプレッドが縮小する「ベア・フラットニング」という現象が生じるかもしれません。

 一般にイールドカーブが右肩上がりになっているということは、投資家が将来の金利上昇を予想しているためで、それは将来の景気拡大などを期待しているからと考えられます。一方で、長期金利が短期金利ほど上昇しない状況は、中央銀行による金融引き締めと将来の景気拡大期待の縮小を示唆しているものと考えられます。

 現状は「ベア・フラットニング」の状況ではありませんが、今後FRBによる利上げのペースは加速すると考えられ、トランプ政権が景気拡大期待を維持し、「ベア・フラットニング」になることを回避できるかには注意したいところです。


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著者プロフィール

  • 小野田 慎(オノダ マコト)

    eワラント証券 投資情報室長。一橋大学法学部卒業後、大和証券投資信託委託に入社、投資信託の開発業務に携わる。2005年からイボットソン・アソシエイツ・ジャパンにて金融機関向けのコンサルティング、企業等の評価に用いる資本コストの分析業務、投資信託の定量評価、現代ポートフォリオ理論に基づいたアセット・アロケーション(資産配分)に関する投資助言を行う。ゴールドマン・サックス証券を経て2011年8月より現職。ポートフォリオ構築の専門家としての経験を活かし、幅広い資産の分析を行う。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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