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第1回 絶望的“富のかすめ取り”社会の到来

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橘 尚人[著]
2007/10/01 11:50

最近『「丸山眞男」をひっぱたきたい』という論文が反響を呼んだ。戦争を起こして現状をひっくり返せば、丸山眞男=インテリゲンチャを中学卒の一兵卒=下流層がイジメ抜くことができるという内容だ。そして、彼らの望みは「国民全員が苦しみ続ける平等」!(バックナンバーはこちら)

戦争でも起きてほしい

 30~40代の働き盛りのネットカフェ難民やファーストフード難民の月収は10万円以下。このままでは、いくら体力をすり減らしても、安定からはほど遠い生活だ。使い捨て労働力の彼らの願いは、「戦争勃発」。明日の生活費を稼ぐことで精一杯の彼らは、いっそ戦争でも起きたほうが、社会が大混乱して自分の人生もリセットできると考えている。衣食住、そして恩給まで保障される軍隊生活は、彼らにとっては天国のような世界なのだ。

 しかし、実際はそんなに甘くない。戦争が起きていつも最前線に行かされるのは、徴収された一兵卒。つまり、戦争が起きても彼らは「使い捨て」要員には変わりがない。

 現在日本の労働人口は1,086万人。そのうち非正規労働者は、01年から07年にかけて366万人に増加。全労働者に占める非正規労働者の割合は、33.7%になっている。こうした不安定雇用の拡大を促進したのが、2000年以降の不況と構造改革路線の規制緩和政策だが、まんまと小泉政権の口車に乗ってしまったのが、われわれ国民なのだ。

 小泉首相は「国民の痛みはともなうが、景気は必ず回復する」と宣言した。確かに景気はよくなったが、安定した日本社会の象徴ともいえた中流階級は消滅して、大きな格差が広がった。いったん単純労働に従事すれば、そこから抜け出して、正社員になろうとしても100%不可能に近い。

日本の街に格差社会が拡がっている
日本の街に格差社会が拡がっている

 つまり、不況突破と規制緩和と単純労働者の増大、中流の崩壊はワンセットになっていたわけだ。不況によって溢れた失業者を、規制緩和で新規参入を促した産業、つまり介護業界や人材派遣業界の単純労働者として雇用して、トコトンこき使おうという魂胆だったのである。

 介護業など一見、時代のニーズにこたえたやりがいのある職業に見えるが、実際には重労働の単純作業なのだ。それも、恐るべき低賃金で、まともに休みも取れないような拙悪な労働条件の下で、こき使われている。

 また、人材派遣業に登録しても、所詮は使い捨て日雇い労働者だ。フリーターでは結婚もできないが、もしフリーター同士で結婚できたとしても、子どもを産んだら貧困から幼児虐待につながるという、地獄行きのスパイラルが待っているのである。

 日当6500円の仕事をいつ切られるかという不安におののくA(21歳・男)は、「マンガ喫茶でも過ごしたが、割高」だといって、1泊1500円の2畳半の簡易宿泊所で暮らす。

 携帯電話で呼び出されてその日ごとに違う仕事をこなすB(30歳・男)は、「郊外の自宅に帰ると時間と交通費がもったいない」からマンガ喫茶で過ごし、食費がなければマンガ喫茶の無料のドリンクとスープで腹を満たす。彼らは平均200~250万円の年収で生活している。

 一方、一度破綻して政府の公的資金で救済された元日本長期信用銀行の新生銀行が、06年度に支払った役員報酬の総額は19億1,900万円。支給対象の役員は17人いるので、単純平均すると、1人当たり1億1200万円になる。同行は昨年度、609億円の最終赤字を出しており、株主総会では、多額な報酬について厳しい意見や質問が飛んだ。

 T・ポルテ社長は「競争力を維持し、ベストな人材を確保することが重要。この報酬レベルは必要」と理解を求めているが、ここまで格差が広がっているということだけは事実なのだ。

「構造改革」という名の富のかすめ取り

 そして現在、一般の労働者の負担は増大している。


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著者プロフィール

  • 橘 尚人(タチバナ ナオト)

    大学卒業後、生命保険会社や投信会社などいくつかの金融機関を経て、現在、外資系投信会社でマーケットアナリストを務める。これまで金融商品の企画・設定から市場の分析に携わり、各方面で実績を積み、高い評価を受けている。一方、格差社会の問題にも関心高く、小泉構造改革の矛盾点を鋭い視点から分析する異色のアナリスト。著書に「石橋は渡るな!‐爆騰狙いのハイリターン投資入門」(光文社ペーパーバックス)がある。

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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