労働者や農民によるストライキや騒動が日常化する中国。政府が公式に認めているだけで、その数は年間10万件を下らない。中には大規模で過激なデモもあり、放置すれば、社会の混乱や治安の悪化を招き、北京オリンピックへの悪影響も考えられるほど。このような中、ヘッジファンドは中国政府の心配のタネを金儲けのネタにしようとしている。(バックナンバーはこちら



中国政府の心配のタネを金儲けに

 なんとウォールストリートのヘッジファンドと中国政府が手を握るようになった。きっかけは中国で増加を続ける反政府デモである。中央・地方を問わず、年金生活者はもとより現役の労働者や農民によるストライキや騒動が日常化する中国。

 政府が公式に認めているだけで、その数は年間10万件を下らない。中には大規模で過激なデモもあり、放置すれば、社会の混乱や治安の悪化を招き、北京オリンピックへの悪影響も考えられるほど。

 頭を痛める中国政府に対し、アメリカの金融機関やヘッジファンドは密かに「テロ対策の一環としての国民監視システム」を導入するように働きかけたのである。折しも、中国政府はインターネットを通じて世界中から押し寄せる「有害情報」に国民が汚染されることがないように、海外情報をコントロールする必要性に迫られていた。

 共産党の独裁体制にとっては、テロより怖いのが、民主化を求める国民の自発的な動きである。マイクロソフトやグーグルでさえ、強大な中国市場での橋頭堡を確保するためには、共産党政府の意向に逆らえないのが現状だ。あらゆるビジネスチャンスに目を向けるヘッジファンドは、早速、この中国政府の心配のタネを金儲けのネタにすべく、動き始めたわけである。

大きな利益を得たヘッジファンド

 まずは、中国の公安当局に働きかけ、その傘下にセキュリティ監視会社を立ち上げさせることに成功。その名も「チャイナ・セキュリティ・アンド・サーベイランス・テクノロジー」。それどころか、リーマン・ブラザーズが主幹事となり、ニューヨーク証券取引所への上場までお膳立てをしたのである。そのあたりの素早い動きはヘッジファンドの得意とするところ。

 アメリカのヘッジファンドが注入した資金をもとに、中国のセキュリティ監視会社では高感度の監視カメラや映像記録システムを導入し、さらには犯罪者やテロリストのデータベース作りや不審者の行動パターン認識ソフトウェアまで開発するに至った。

 当然のことながら、これらの技術やノウハウを売り込んだヘッジファンドは大きな利益を計上している。とにかく2006年だけで、アメリカのヘッジファンドは中国の監視システム会社に1億5000万ドルを超える投資を行った。

中国で相次ぐ市民監視ビジネスの参入

 この住民監視ビジネスは2010年までに431億ドルに達すると予測される急成長ビジネスである。



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プロフィール
浜田 和幸ハマダ カズユキ

1953年鳥取県生まれ。東京外国語大学中国語科卒業。米国ジョージ・ワシントン大学大学院にて政治学博士号取得。米戦略国際問題研究所、議会調査局等を経て、現在、国際未来科学研究所代表。その国際情報収集能力には定評があり、優れた国際情勢分析で注目されている。主な著書には『ノーベル平和賞の虚構』『オバマの仮面を剥ぐ』『食糧争奪戦争』『「未来を創るエジソン発想法』『「大恐慌」以後の世界』『石油の支配者』『ウォーター・マネー「水資源大国」日本の逆襲』『「国力」会議:保守の底力が日本を一流にするヘッジファンド―世紀末の妖怪』などがある。


本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る


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