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 最近、女性結婚詐欺師による事件が多発している。なぜ人はこうも簡単に騙されてしまうのだろうか。詐欺は「私は注意深い」と思っているあなたを含め、誰もが被害者になってしまう可能性があるのだ。


忍び寄る女性結婚詐欺師

 結婚詐欺というと、結婚する気もない色男が結婚適齢期の女性に近づき、女性がせっせと貯めていた貯金を掠め取る様子が想像される。だが、必ずしもそうとは言えない。

 先日このようなニュースを目にした。
「元ミス日本の美女が結婚詐欺」 (産経新聞)
 何でも、元ミス日本で47歳の女性が、生活費や遊興費目的で結婚詐欺を繰り返していたとのこと。その女性は、「 男性が私にぞっこんなので、だますのは簡単だと思った」 と述べているそうだ。
 このように、結婚詐欺は必ずしも男性の専売特許ではなく、女性が主体的に結婚詐欺を行うこともある。

 また、同じく最近だが、次のようなニュースもメディアよって流された。
「72歳女、10都県27人結婚詐欺 被害1億円 」(産経新聞)

 何でも、平成20年1月31日に新潟県で72歳の女性が結婚詐欺容疑で再逮捕されたとのこと。その女性は派手な金髪のかつらを付けて結婚相談所に赴き、そこで知り合った高齢男性に 「税金未納で差押を受けそう 」などと頼み込み、借金をする手口を繰り返していたそうだ。
 このように、高齢の男女間で女性から結婚詐欺を持ちかけるケースも存在するのである。

常識にとらわれ過ぎると騙される

 結婚詐欺とは、男性が結婚適齢期の女性に行うものだという常識が頭に存在すると、女性が行う結婚詐欺に騙されかねない。これらの結婚詐欺で騙された男性も、よもや自分が結婚詐欺に引っかかるとは夢にも思っていなかっただろう。

 最近、この手の女性による結婚詐欺のニュースをよく目にする。結婚詐欺は男性が行うものという常識を利用していると思われる。このように、常識にとらわれ過ぎるのも詐欺に対するガードが低くなるため考えものである。

 結婚詐欺では、結婚を前提とした男女間で、何らかの理由をつけてお金を貸してほしいと頼むことによって行われることが多い。それでは、結婚詐欺か単なる借金の申し入れかをどのように判断すれば良いのかご存じだろうか。

詐欺と立件するのが難しいケースも

 この話をする前に、詐欺について少し整理しておこう。
 詐欺とは、人を欺いて錯誤に陥れ、財物をかたり取るか、または財産上不法の利益を自己もしくは他人に得させる罪をいう(刑法第246条)。要は、騙して財産を奪うことが詐欺なのである。

 ここで重要なのが、「 財産を奪うときに騙す意図がなければ詐欺は成立しない 」ということである。お金を返すつもりで借りたが、資金繰りに詰まって返せなくなったという場合は、借りるときに「返すつもりで」借りているのだから詐欺にはならない。

 また、結婚を前提として借りたのであったとしても、借りるときに「結婚をするつもり」でいたならば、その後結婚の話が立ち消えたとしても詐欺にはならない。これらの場合は単なる民事上の返済責任を負うだけで、詐欺という刑事罰の対象とはならないのである。

結婚詐欺

 ところで、このような法律相談をしばしば受けることがある。
「結婚前提で付き合っていた彼氏が突然別れてくれと言い出したんです。彼には付き合い始めてから今まで100万円ぐらいお金を貸しているんです。これって結婚詐欺じゃないですか。本当に許せません、刑事告訴してください!」

 はっきり言おう。残念ながらこのケースは、ほとんどの場合が詐欺ではない。もう少し正確に言うと、詐欺として警察や検察が取り上げてくれない。

警察にも相手にされない

 この場合で詐欺と認定されるためには、男性がお金を借りる際に、全く結婚する意思がなかったか、お金を返す意思がなかったことが必要となる。たとえ、「 結婚資金として100万円必要だから100万円貸してくれ 」という話があったとしても、借りるときに本当に結婚資金に使うつもりでいたが、後々結婚の話がなくなり返済できなくなったのであれば、これは詐欺ではない。

 そして、
「結婚するつもりはなかった」
「借りるときに返す意思がなかった」

という事実を立証しなければならないのは、警察であり検察であるところ、この男が、
「結婚するつもりは全くありませでした」
「もともと返すつもりもないのに借りました」

などと供述する可能性は極めて低いのだ。

 そのため、警察に相談したとしても、「これは民事の問題だから弁護士にでも相談しなさい」となるのである。

 それでは、「借りるとき返すつもりでしたが、結果として返せなくなったのです」と言えばいつでも詐欺にならないのかというと、そうは問屋が卸さない。

 例えば、その者が同様の手口で複数人からお金を借りており、すべての人に一切返済していないという事実があれば、たとえ本人が「返すつもりでした」などと供述していたとしても、その供述は信用されない。この場合には、借りる際に返済の意思はなかったとして詐欺の認定がくだされるだろう。複数の同様の被害事実から、「返すつもりでした」という供述が嘘であるとの認定ができるからである。

立件には多くの類似の被害事実が必要

 もっとも、言い換えれば、結婚詐欺では多くの類似の被害事実がなければ詐欺としての立件が難しいということである。

 冒頭のニュースでも「結婚詐欺を繰り返していた」という記載や「27人に結婚詐欺」という記載があるが、これは被害者が多数いることのみを意味しているのではない。このような背景があるため、結婚詐欺を立件できたという事実をも意味しているのである。

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