はじめての選挙はあえなく落選
そしていよいよ、大将選挙に立候補する日がやってきた。入社半年後の10月、山本さんは大将選挙に立候補するが、結果は落選。大将選挙では、同社社長、経営幹部、各店舗の店長など合計30~40名が集まり、多数決が行われる。初めて立候補する新入社員、山本さんを知る人はごくわずか。知名度が低かったのだ。
次の大将選挙が開かれるのは、翌月。山本さんは落選から1カ月間、経営幹部や店長(大将)達のところにあいさつに回った。新入社員の山本さんに、「入社したばかりの若者に、何が分かるのか?」という意見があるのは当然だ。そこで山本さんは、多くの大将の元へ会いに行って自分のことを知ってもらい、「山本なら、できるかもしれない。山本を頑張らせてやりたい」と応援してくれる人を一人でも増やしたかった。
自分の考えを一方的に伝えるのではなく「私はこのように考えていますが、それについてどのように思いますか」と、相談する姿勢で臨んだ。その結果、飲食店経営者である先輩から多くを学ぶだけでなく、山本さんのことを理解してくれる大将も増えたと言う。
ついに当選&独立へ
山本さんのやる気と人柄を知ってもらうあいさつ回りが功を奏し、2004年11月、2回目の大将選挙で、“大将”に当選した。
大将選挙に当選すると、“会社を辞め、個人事業主として独立する”という決まりになっている。そして、ムジャキフーズによる出資と店舗指導を受けながら、飲食店を開店するのだ。山本さんも会社を辞め、個人事業主になり、ムジャキフーズと店舗運営に関する契約を結んだ。
とまどい続きの開店準備
開店準備は、当選してすぐに始まった。週に6日間、引続きラーメン店で働きながら、空いた時間を使って準備を進めた。
「僕はそれまで、飲食店を経営した経験がなく、“どんな準備をしなければならないか”が分かりませんでした。すべてが未経験のことばかりで、とにかく必死でした。忙しくて大変でしたが、睡眠時間が減っても、やることはやらなきゃと思っていました」。
店を出すにあたりどのような準備が必要かは、飲食店経営の経験が豊富なムジャキフーズの常務に教わった。
山本さんがはじめに考えたのは、“人が集まる、多目的カフェのような空間”。発想は面白かったが、店のコンセプトとしては、はっきりしないものだった。ジャキフーズの取締役からは「繁盛店を作るには、わかりやすいコンセプトがあり、利益も出せる業態にしなければならない。利益を出すためには、何が店のウリなのかを明確にすることが必要だ」とアドバイスを受けた。
誰でも食べられる定番料理なら、ハンバーグ
山本さんは「手作りの定番料理を出す」をコンセプトに、メイン料理を考えた。「定番料理と言って、最初に思い出すものは何だろう?」と考え、思い浮かべたのがハンバーグだった。
「僕が子どもの頃、ハンバーグはごちそうだった。ハンバーグは皆が好きな食べ物で、子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで食べられる料理だ。皆の好きな料理を出せば、より多くのお客様に喜ばれる。ハンバーグ中心の洋食屋さんにしよう!」
ハンバーグの店を作ることが決まり、山本さんは、洋食店で働いていたシェフと一緒にハンバーグの試作を重ねた。















