食糧危機が全世界を巻き込んだ問題に発展している。4月13日にワシントンで開かれた世界銀行・国際通貨基金(IMF)合同開発委員会でも緊急支援の必要性が議題に上った。
日本でも食料原材料の相次ぐ値上げが家計を圧迫しているが、これは日本国内だけの問題ではない。今、食糧の世界的な価格高騰が起こっており、とくに食糧不足に悩む途上国では問題が深刻だ。カリブ海の島国ハイチでは、食糧価格の急騰が引き金となり、食料雑貨店などを狙う略奪や暴動などの騒ぎが1週間以上にわたって続き、事態を収拾できなかったアレクシ首相は国会によって解任に追い込まれた。
同様にアフリカのエジプト、カメルーン、セネガル、エチオピア、コートジボワールなどでも抗議デモが相次ぎ、死傷者も出る騒ぎになっている。またアジアでもパキスタンやタイでは、食料倉庫の襲撃を阻止するために軍隊を配備するなどの対応に迫られている。
現在生じている世界的な食料インフレのそもそもの原因とされているのは、ブッシュ大統領率いる米国政府の政策だ。米国では石油依存から脱却を目的としたエネルギー政策の一環で、自動車燃料に含まれるバイオ燃料の使用量を2006年から2012年までに倍近く拡大することを義務化することが決定している。
米国では需要増を当て込んで、トウモロコシ相場が急騰し、トウモロコシへの転作にともなう作付面積の減少懸念から他の穀物や農産物の価格が高騰し、これが国外まで飛火している。
インドのチダム・バラン蔵相が発した、「何百万人もの人間が飢えている時に、食料がバイオ燃料として消費されることは、人道に反する」とのコメントに代表されるように、今、世界各国からブッシュ政府を批判する声が巻き起こっている。
このような事態に対し、ブッシュ米大統領は14日、2億ドル(約200億円)の緊急食糧支援を行うと発表。米国政府の素早い対応の裏には、バイオ燃料政策への批判を回避したいという思いが見え隠れする。だが、サブプライムローン問題をきっかけに米国経済は金融市場から信用を失いつつあり、ドル安が進んでいる。行き場をなくしたカネが、商品相場に流れたことも食物価格の上昇を加速させており、複数の要因から亀裂が生じて発生した今回の問題を早い段階で解決へ導かない限り、米政府への批判は止みそうにない。
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