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 異常ともいえる原油高を追い風に中東マネーが存在感が増している。同時に欧米の大手投資銀行やヘッジファンドもイスラム金融債の発行やイスラム金融型ヘッジファンドの開発に乗り出した。いわゆるイスラム圏以外の国々にもイギリスやドイツなどで相次いでイスラム銀行が設立されるようになった背景を明らかにする。(バックナンバーはこちら


史上類を見ない大規模エンターテイメント王国に着手

 史上空前の原油高を背景に中東マネーが存在感を増している。国際金融の世界でもイスラム金融に対する関心が急速に高まってきた。中東の経済的活況振りを象徴しているのが、ドバイに建設が始まった世界最大のエンターテイメント施設である。UAE(アラブ首長国連邦)は原油の収入を有効活用するためアメリカの娯楽産業と提携し、史上類を見ない大規模な「ドバイランド」と呼ばれるエンターテイメント王国を2015年までに完成させるという。

 総額3500億ドルを投入し、今後12年間の歳月をかけ砂漠の地にスキー・リゾートやバーチュアル・リアリティー(仮想現実)の技術を駆使したタイムトラベル・アミューズメントパークや音楽の街作り、そして100体以上のロボット恐竜を放し飼いにしたジェラシックワールドを建設する計画だ。完成すればフロリダのウォルト・ディズニー・ワールドより3倍近いスケールを誇ることになる。

建設ラッシュに沸くドバイ
ドバイ

 このドバイランドを軸に11キロにわたりテーマ・ホテルやスポーツ施設が軒を並べることになりそうだ。タイガー・ウッズが自ら設計監督した初のゴルフコースも計画中である。1日平均4万人を越える来場者を想定しており、ホテルの豪華な客室数も12万5000室に達するという。中東においてはこのドバイランドに限らず実にさまざまな大型プロジェクトが進行中である。

 石油の力を最大限に活かし、これらアラブ諸国では2020年までに娯楽産業に投入する資金だけで、3兆6000億ドルを越える見通しである。ドバイはすでに「幸せの島(サーディアット)」というキャッチコピーで世界からビジネスマンや観光客を集め始めている。その先鞭をつけたのが、パリのルーブル美術館の分室を誘致したことであろう。日本からも建築家安藤忠雄氏の設計による海洋ミュージアムが建設される予定で大きな話題となっている。

航空宇宙産業に820億ドルの投資

 また、娯楽産業に限らず新たなビジネスとして、ドバイが力を入れているのが、航空宇宙産業だ。石油は化石燃料であり、未来永劫に渡って存在する資源でないことは明らかである。そのためドバイでは新たな製造拠点として航空機や宇宙ロケットに使うエンジンの研究開発の拠点を設けようとしており、すでに820億ドルの投資を決めた。今後30年以内に世界で最も巨大なハブ空港を建設するとともに航空宇宙産業のメッカに飛躍しようとの計画を温めているようだ。

 このような巨大プロジェクトを成功させるために欠かせない役割を担っているのが、イスラム金融に他ならない。イスラム金融には公式統計が存在しないため、その規模を正確に把握することは困難といわれている。とはいえ、保険を含む世界のイスラム金融資産の残高は約1兆ドルと推定され、年間平均で20%を超える増加を続けている。イスラム銀行の世界上位100行の資産額を見ると、約5000億ドルといわれ、世界70カ国で積極的な投資活動を行っている。その増加率は年間26.7%であり、世界の銀行の上位100行の19.3%を大きく上回る。

 イスラム金融を取り扱うイスラム銀行は2001年の米同時多発テロ以降、イスラム教に対する不信感や反発に対抗する形で、イスラム教徒が団結を強めたことをきっかけに、その預金量が急激に拡大したものである。時を同じくして、原油価格が上昇をはじめ中東諸国全体が潤い始めたことも影響している。

 イスラム金融の特徴は「シャリア」と呼ばれるイスラム法に従った金融手法である。(次ページへ続く)



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プロフィール
浜田 和幸ハマダ カズユキ

1953年鳥取県生まれ。東京外国語大学中国語科卒業。米国ジョージ・ワシントン大学大学院にて政治学博士号取得。米戦略国際問題研究所、議会調査局等を経て、現在、国際未来科学研究所代表。その国際情報収集能力には定評があり、優れた国際情勢分析で注目されている。主な著書には『ノーベル平和賞の虚構』『オバマの仮面を剥ぐ』『食糧争奪戦争』『「未来を創るエジソン発想法』『「大恐慌」以後の世界』『石油の支配者』『ウォーター・マネー「水資源大国」日本の逆襲』『「国力」会議:保守の底力が日本を一流にするヘッジファンド―世紀末の妖怪』などがある。


本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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