先ほど米国大統領選の話をしたが、実は民主党のオバマ候補が大統領になっても、共和党のマケイン候補がなっても、イラク政策に大差はない。
というのは、早期撤退を主張するオバマ候補はもちろん、それに反対するマケイン候補も、2013年の次期大統領の任期満了までには、米軍を撤収させるという考えを表明しているからだ。
つまり、米軍の撤収方針には変化がないということ。それによって、イラク政府が弱体化して、テロが続発する可能性がある。それを防ぐ役目を負い、そして利益をあげるのは、いまをときめくというか、紛争当事国から白い目で見られている“民間軍事会社”だ。
戦争をビジネスにするという民間軍事会社は、米国や英国、そして南アフリカなどに存在するが、これまで黒いベールに包まれていて、全貌はわからなかった。ただ最近では、民族紛争や地域紛争などに深く関わっていることが報道されて、徐々に明らかにされてきた。

ここで、その代表的な2社を紹介しておこう。
まず「ブラックウォーター」社は、米国海軍の特殊部隊「シールズ」の元メンバーが1997年に設立した、戦地での要人警護や後方支援、作戦支援、そして軍事訓練のサービスを行っている。
もうひとつの「ハリバートン」社は、米国に本拠を置く多国籍企業で、120ヵ国以上で営業しているが、主要営業部門は、資源サービスグループ(Energy Services Group)で、ESGは石油と天然ガス探査及び生産設備を製造している。
この2社が、ビジネスとして、イラク戦争と深くつながって、多くの利益をあげているのだ。
まずブラックウォーター社は、「傭兵」派遣会社としてビジネスを行っている。正規軍が駐屯しているのに、なぜ傭兵かというと、正規軍兵士1人当たりの派遣維持経費は、武器装備、食費、移動費などを含めると、約数千万ドル要する計算になるが、これが、ブラックウォーター社の傭兵の場合、はるかに下回る経費で調達できることになっている。
実は、ジュネーブ協定では「傭兵」、つまり「戦闘行為に参加するために外国政府から雇われている個人」は禁止されているが、ブラックウォーター社の「傭兵」は「同社の社員=民間人として派遣されている」ので、この協定には該当しないことになっている(同社の言い分)。
つまり、装備や能力から見ても傭兵としか理解できない人材を、経費を安く抑えて「民間社員」として戦闘に従事させているのである。
また、正規軍兵士でない限り、捕虜の虐待などの非人道的行為を行っても、政府が直接非難されることもなく、法的拘束力はないので、国際法で裁くことも不可能である。
一方、「民間社員」だった人間は、現地の戦闘に巻き込まれて死亡しても金銭的な保障がないだけでなく、遺体も本国に送還されることができない契約になっているという。
もともとは、イラク政府やイラクを支援する米国政府の要人の警護からビジネスを開始したブラックウォーター社だが、いまや戦争行為自体を受け持つ、まさに「戦争人材派遣会社」に成長したのだ。
世界中から貧困層を調達してイラクへ送り込め!
もうひとつの多国籍企業のハリバートンは、イラクにおける石油利権の獲得を目的に進出してきた。















