2005年頃からブームとなり、現在も投資家が増え続けているFX(外国為替証拠金取引)業界だが、FX業者間の競争は激しさを増している。FX業者とは、簡単に言えば、株式投資における証券会社のように、投資家たちの取引の仲介を行う企業だ。
FX業者は主に、取引手数料や、売りと買いのレート差である「スプレッド」で利益を得る。しかしFX業者は現在国内に200社近くに上るといわれており、競争は激化。顧客獲得のために各社は、1~2年前から手数料を無料に引き下げ始め、08年に入ってからは、スプレッドを縮小し始めている。
また最近ではFX業者の中で新しい動きが見られる。それがカバー取引からの撤退だ。カバー取引とは、FX取引会社等が顧客との取引で価格変動リスクを避けるため、カバー取引先を相手に行う取引のこと。このカバー取引を取引会社が人為的に操作したり、顧客取引からカバー取引までに時間差が生じると、その間の為替変動リスクを取引会社は背負うことになる。この場合、顧客と取引会社の関係は、利益相反関係の可能性が生じる。
実際に07年8月に起こったサブプライムローン問題に起因する円高により、急激な相場変動に耐えきれなくなり、市場でカバーがとれず、破綻する業者も出てしまった。
そのため老舗のFX業者の上田ハーローは、顧客の注文を受けると同時に、すべて自動的にカバー先金融機関に注文を出す「完全フルカバーシステム」を採用している。顧客とインターバンクが直結することで、両者は利益相反関係から共存関係になると同時に、取引レートの作為的な操作も不可能になることで、透明性の高い価格が提示されることになる。
また業界大手のFXCMジャパンは6月末から「EE方式」と呼ぶシステムを採用。これは顧客の注文1件毎にカバー取引先へ取り次ぎ、原則的に市場リスクを持たないモデルだ。FXCMジャパンの営業企画部長、中井一郎氏は「従来のシステムでは、昨年のような円高が起きた場合に対応できるか疑問。このままではいけないという結論に至った」と、顧客の信頼を得るためには、財務体質が健全性を保つことが重要だと説明する。
とはいえ、まだ国内では多くの事業者が一時的に市場リスクを受ける旧来の方式を採用しているのが現状だ。上田ハーローやFXCMジャパンのようなモデルを取っている企業は少数派に入る。安全性を確保する必要がある一方で、事業を継続させていくには収益を上げていかねばならず、手数料無料やスプレッド縮小が進むなど、環境は厳しい。今後、FX業界は、単なる営業努力、事務コストの削減などでコストを下げ、それをサービス、商品に転嫁するビジネスモデルだけでは生き残りは難しく、抜本的なビジネスモデルの変更が経営判断として求められる。
一方でFX市場は中井氏が、「世間の投資に対するニーズにFXが適している」と話す通り、現在も成長を続けている。2007年12月にFXCMジャパンが行ったアンケート調査結果からはFXに「興味がある、検討中である」というユーザは約170万人もいると推定される。「今後、2~3年後についても潜在的な市場規模はあると考えており、ネットによる株投資を行っているユーザ規模の30%以上が新たにFXに参加するのではないか」(中井氏)と予測する。FX人気の継続とともに、今後FX業者間の競争がより一層激しさを増していくことは間違いないだろう。
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