1社に対し8,000億円超の投資を行うアブダビ投資庁
アブダビに関連するニュースが、ここ最近投資市場を賑わせている。というのも11月26日、米金融大手シティグループが、アラブのアブダビ投資庁から、75億ドル(約8100億円)の融資を受けると発表したからだ。これを受け、低迷を続けていた米市場は息を吹き返し、NYダウは2日間で500ドル以上と大幅な上昇。これは日本市場にも波及し、11月29日、日経平均株価は前日比359円96銭高の1万5513円で終了している。これに伴い、11月下旬に入り108円台で推移していたドル円も29日には一時110円台まで回復。底を打ったように見られ、胸をなでおろした投資家も多いのではなかろうか。
しかしながら、ポーン(?)と8000億円もの融資をする、アブダビ投資庁とはいったいどんな存在なのか? 一言で言うとそれは「アブダビが運営する、政府系のファンド」ということになる。
そもそも、アラブにはこういった政府系のファンドが多数あり、積極的に外資に投資をしているという。原油価格は1バレル100ドル近くと高騰気味。だぶついたオイルマネーが世界を駆け巡っているという構造だ。
今回の融資劇、サブプライムローンに疲弊した米経済の信用不安を払拭する材料として好感されているのは事実。しかし、当然ながらアブダビ投資庁も単なる“足長おじさん”というわけではない。
11月に行った出資で、アブダビ投資庁はシティグループの4.9%の株式を保有する最大の出資先に躍り出たという。現在、世界的にもドル安で、さらに米銀行株は軒並み割安気味。いうなれば、バーゲンセールの真っ最中で、買収にはもってこいの時期なのだ。今後、オイルマネーが疲れきった米企業を買い漁る時期が到来するかもしれない。
ちなみにシティグループといえば、11月に東証に上場したばかり。日興コーディアルグループを三角合併による完全子会社化する予定で、これは間接的にオイルマネーが日本にも影響することを意味する。今回の出資に関しては、アブダビ投資庁はシティグループの経営に一切口出しをしないことになっているが、これから先の買収がすべて友好的に行なわれるとは限らない。日本にとっても対岸の火事とはいかないだろう。
なぜアラブが米企業に投資するのか?
中東の産油国であるアラブが米経済の後ろ盾になるのは他にも理由がある。それは、これ以上米経済への信用不安が続き、ドル安傾向が続くのは、彼らにとっても得策ではないからだ。いくまでもなく、原油はドル決済。いくら原油価格が高騰しているとはいえ、ドル安では儲けは相対的に減ってしまう。米経済を支えることが、まわりまわって産油国自身も守ることになる側面もあるのだ。
このように米経済に対する対処療法が行なわれる一方、米国内経済の状況は思わしくない。直近の10月中古住宅販売件数は予想500万件に対して497万件、耐久財受注も予想±0.0%に対して-0.7%と経済指標は悪化気味だ。これまでの米経済の好調は内需に支えられたものだったので、これは大きな懸念材料。
外資による過剰な資金調達は、いわばドーピングのようなもの。抜本的な改善が求められるのはいうまでもない。 短期的には立ち直ったように見える米市場と、それに追随する日本市場。
我々個人投資家は年末を前にどう動くべきなのか?気を抜かず対処したいものだ。
・アラブ首長国連邦、アブダビについて(外務省)
・アブダビ投資庁のシティ・バンクへの融資について(AFP)







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