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金融危機から通貨危機へ 止まらない資金流出

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2008/10/24 17:30

 株式市場の大暴落をきっかけとして、米国や欧州を中心に金融機関の公的保護策が導入されました。これにより先進国の金融機関が倒産する恐れはほとんどなくなりましたが、危機は別の方向に広がっています。(バックナンバーはこちら)

金融危機から通貨危機へ

 米国を中心としたサブプライム証券を発端とした今回の金融危機ですが、損失拡大による金融機関の体力低下と信用収縮、株式市場の暴落などを経て通貨危機へと変貌しようとしています。アイスランド、ハンガリー、ウクライナなど資金難に陥った国々がIMFへ支援を要請する事態に陥っています。

アイスランドの事例

 人口30万人のアイスランドは「金融立国」として発展してきました。グリトニル、ランズバンキ、カウプシングの3大銀行は欧州に積極的に展開し、インターネット支店で預金を集め、ビジネスを拡大してきました。

 今回の危機で、資金調達できなくなった銀行に対し、アイスランド政府は救済に乗り出しました。9月29日、グリトニルに対し政府が75%の資本注入を行うと発表しました。しかし、金融機関の規模が国よりはるかに大きいため国の信用問題に飛び火し、格付け会社はアイスランドを格下げ、通貨アイスランド・クローネは急落しました。国の信用問題は、他の2行にも飛び火し「ネット銀行での取り付け騒ぎ」という歴史上例を見ない資金流出騒動に発展しました。これに伴い英国にあったネット銀行は英国FSAの管理下に置かれ、資金繰りに窮した他の2行もアイスランドFSAの管理下に入ることとなりました。

 通貨クローネは暴落、公的管理化に入った銀行の債券がデフォルト状態に陥るなど、影響が拡大しています。アイスランド政府はIMFと交渉する一方、ロシアに融資を要請するなど、ぎりぎりの調整が行われています。

中央アジアと東ヨーロッパの事例

 ハンガリーとウクライナ。共にソ連崩壊後西側の資本を積極的に受け入れ、その外国資本頼りの経済政策のため、対外負債の増加と経常赤字という「回転売買経済」の下で発展してきました。その回転売買は、外国資本の引き上げという事態に直面して「自転車操業経済」となってしまいました。EUに加盟しているハンガリーはIMFとEU諸国による支援を取りつけました。ウクライナは主だった支援先がないためIMFに支援を要請しました。両国の通貨は暴落。IMFへの支援を決定した後も、下げ止まる気配がありません。

BRICSからも続く資金流出

 ほんの半年前まで、資源高と資金流入による高成長を謳歌していたBRICSですが、こちらからの資金流出も止まる気配を見せません。

 株式市場は景気減速見通しと資源価格の暴落により下落、将来の高成長を期待して流入した資金が流出しています。BRICS諸国は規模が大きく外貨準備を潤沢に保有するため、通貨危機に発展するとしてもまだまだ先の話ですが、株式市場と通貨の下落はBRICS諸国の経済に大きな傷を残しています。

日本への影響は?

 世界恐慌というシナリオを元に世界中で株式の売却やヘッジファンドの解約による現金化が行われています。比較的影響の少ない日本ですが、今後どのような経路で影響を受けていくでしょうか?(次ページへ続く)


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著者プロフィール

  • 課長 今調査役(カチョウ イマチョウサヤク)

    大学院で物理学を志すも途中、島耕作にあこがれ金融業界へ。本職は債券市場と計量分析のアナリスト(自称調査役)であるが、お金の流れを追う過程でマクロ経済、株式、商品、アセットアロケーションなどを学び、株の銘柄選択以外すべてに通じるマルチアセットアナリストとして、多方面で活躍(予定)。日本人として日本人の資産をいかに有効利用するかを生涯の目標とする。
    好きな言葉 「潮が引いたとき、誰が裸で泳いでいたかがわかる」

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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