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【金融ギョーカイ裏話】
金融業界から聞こえてくる悲鳴

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2008/11/19 09:00

「この業界に入って15年になるが、今年が一番厳しい」「先月もきつかったけど、今月はもっときつい。というより、昨日より今日がきつい」。今、金融業界からは遠い過去、近い過去を後悔する声ばかりが各方面から聞こえてくる。

苦悩の日々を送る金融業者

 めまぐるしく揺れ動く株式市場に日々翻弄されるばかりでなく、人生まで翻弄される人々がいる。俗に「市場関係者」と呼ばれる証券界のギョーカイ人だ。

 株が何かもよく知らないまま証券会社に就職し(私は完全にこのパターンだ)、同期入社の人間がバタバタ辞めていくなか、強烈なストレスと戦い生き残った鉄人たち―。そんな彼らも今、見たことない相場に直面し、苦悩の日々を送っている。

 市場関係者には、昔ながらの証券マンと呼ばれるリテール営業や法人営業に従事する方々のほか、ファンドマネージャー、アナリスト、ディーラー、引受業務担当者など、多業種が存在する。こういった人々が今、どういう言葉を発しているか、どういう行動を取っているか―というのは、兜町とつながりを持たない投資家にとっては興味深いことかと思われる。

 今回より、独立系の金融情報会社で働く、「いち市場関係者」として、彼らの息吹をレポートしてみたいと思う。もちろんこれは、パンくずを拾うほどに極一部の声や動きに過ぎない。ただ、株式市場に振り回される姿は、キャリアを積んだ市場関係者であっても、個人投資家とさほど変わりないことを知って安心感を覚えていただけるかもしれない。もちろん、投資行動のお手本となる部分も多々あるはずだ。

 これらを伝えるほか、市場関係者を取り巻く最新の業界環境などもお伝えしてきたい。

みんな、昨日より今日が苦しい

「この業界に入って15年になるが、今年が一番厳しい」
「先月もきつかったけど、今月はもっときつい。というより、昨日より今日がきつい」

 遠い過去、近い過去を後悔する声ばかりが各方面から聞こえてくる。未体験の大暴落を経験したことで、新入社員のような発言を繰り返す方もいる。

 ただ、今回の大暴落が1929年の世界恐慌以来と表現されるように、比較すべき過去の事例が何かのテキストで読んだことのあるレベルという点では、どんなベテランでも一緒だ(今のマーケットに約80年前の当時を経験した方はまず存在しないため)。この混乱をどう乗り切るか、対処策すら分からないというのが誰しもの本音のようだ。

 ただ、今回の相場急落の根源として異論ないのは、「需給」の二文字でさらっと片付けられる、ファンドの解釈やロスカットが原因だったということ。投資主体別の需給動向をみても、外国人投資家は10月に現物・先物合わせて1.7兆円も売り越しており、これが株安の戦犯だったのは間違いないだろう。

「日経平均採用225銘柄で換算してPBR1倍割れ、こんなのあり得ない」

 これもよく耳にした言葉だ。とくに、信用リスクの低いソニーや総合商社なんかのPBR1倍割れはサプライズ大で、「長期スパン」を合言葉に押し目買いを考えた市場関係者も当時は多かったように思われる。しかし、

「あのトヨタまでPBR1倍を割り込んでしまったよ・・・。このPBRという指標が機能しない相場だってこと、ようやく気付いた」

と、含み損を抱えた「PBR1倍割れを理由に買った大型株」をたっぷり持って嘆いているのである。こういった発想で失敗したのは、「木を見て森を見ず」といった考えの方だったため。なまじ個別銘柄に精通し、個別銘柄の価格ばかり追ったことで、全体の“需給”や流れに対する読みを大きく誤ることになったのだ。

 こんな状態まで売り込まれながら、「需給」を重視する某ヘッジファンドの知人A氏は、早い段階から冷静に判断していたようだ。

「今の相場でPERやPBR、配当利回りが長期金利に比べてどうとか、そんな理屈通じるわけないじゃない。割安かどうかなんて考えず、ファンドマネージャーたちは“売らなきゃいけないから売ってる”んだから」(A氏)

 かなりシンプルな発想だが、これが正解だ。日経平均が9000円台で足踏みする10月中旬には、年初から50%プラス(!)になっているA氏の運用するファンドは閉じたという。その理由は、「この先の相場がまったく読めないから」。勝っている投資家は、勝ち逃げできる投資家でもあるのだ。

 そうはいっても、日経平均株価が誰も割ることはないであろうと確信していたバブル後最安値を割り込み、26年ぶりの安値を付けてしまったパニック相場。100年に1度なんていわれる最悪な地合いのなか、市場関係者の多くは傷まみれだ。

身近なあの証券マンも苦しんでいる

 対面営業で個人投資家の注文を受ける営業担当からも悲鳴が聞こえてくる。


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著者プロフィール

  • 真行寺(シンギョウジ)

    兜町の人脈拡大を真面目に行なっている。金融業界の裏事情に精通し、一部のファンから熱烈な信頼を受けている。

     

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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