通貨ペアは、大きく2つに分けて考える
「どの通貨ペアを選ぶべきなのか」をお話しする前に、まずどれくらいの通貨があるのかについて触れた方が良いだろう。
IMF加盟国185通貨でもまったく独立してフロートしているのは50通貨程度だ。その他の多くの通貨は何らかの基準に対して固定相場となっている。米ドルに固定している通貨、ユーロに固定している通貨、SDRに固定している通貨がある(パナマ、アフリカの一部通貨、ミヤンマー、ブータンなど)。また管理フロートといって制限された中での自由変動性が保たれている通貨もある(人民元、メキシコ、シンガポール、イスラエルなど)。
通貨ペアは基本としては独立してフロートしている通貨から選ぶこととなる。50通貨からの2つを選んでの組み合わせとなる。好きなように、自分の興味のある国を2つ選んで取引すればいい。ただそれぞれの証拠金会社で取り扱っている通貨ペアの数は異なる。数種類の通貨ペアから60通貨ペアの取引が可能な会社もある。
さて選んだそれぞれの通貨ペアはどのような特徴があるのだろうか。ドル円、ユーロドル米ドル、豪ドル円、ユーロスイス、南アランド円、NZスイス、ユーロカナダなどさまざまな通貨ペアがある。

まずは大きく2つに分けたい。「ドルとの通貨ペア」と「ドルが含まれない通貨ペア」だ。
前者はドル円、ユーロドルドル、ドルスイス、豪ドルドル、ポンドドルなどが、後者はユーロ円、豪ドル円、ユーロスイス、ユーロポンド、ポンド豪ドル、ユーロカナダなどがある。
ドルとの通貨ペアの特徴は基軸通貨ドルが含まれているので流動性がある。また世界の通貨は米国の景気動向、政治状況などを中心に動く、ニュースも米国関連のものが最も多いのでドルを含む通貨ペアを取り引きする時は有利だ。
非ドル通貨同士のポジションを持つ時はドルとのペアを持っている時ほど、その通貨ペアを動かすニュースは出てこないので収益チャンスは少なくなるかもしれない。
例えばNZドル円というポジションを持っていても、NZの政治経済あるいは日本の政治経済のニュースはドルすなわち米国のニュースほど出てこない。またNZドル円のポジションを持っていても市場が注目する米国のGDPや失業率が発表されて反応することは難しい。
NZドル円ディーラーはいない
もちろん極端に良いニュース、あるいは悪いニュースがNZや日本で出ることがあるかもしれないが、そういう時でもNZドル円のポジションを持つより、NZドルドル(NZドル/米ドル)やドル円で取引するほうが流動性が厚いので、売買する安心感はある。ドルとの通貨ペアを選ぶ方が収益チャンスや流動性の点でドルを含まない通貨ペアより優位となる。
またNZドル円のクロスレートを作るときも、NZドルドル(NZドル/米ドル)とドル円相場から掛け合わせで作成する。ドルを介在させた流動性の厚い通貨ペア同士から計算する。個人の投資家はご存知ないかもしれないが通常銀行にはドル円ディーラーやNZドルディーラーは存在する、がNZドル円ディーラーはいないのである。NZドル円相場は合成相場である。(次ページへ続く)