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【相場師列伝】 イングランド銀行をつぶした男「ジョージ・ソロス」の投資哲学

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2008/12/02 09:00

 今回取り上げるのは、ジョージ・ソロスです。ヘッジファンを率いてデリバティブを駆使し、空前の利益を毎年のようにたたき出した相場師です。彼の数あるエピソードの中でも有名なのはやはり「ポンド売りでイングランド銀行を破産させた」というものでしょう―。(バックナンバーはこちら)

一貫した思想を持つジョージ・ソロス

 今回も引き続き歴史上の偉大な相場師を振り返るシリーズで、ジョージ・ソロスを取り上げます。まだ現役なので歴史上と言ってしまうには問題があるかもしれませんが、その輝かしい実績は歴史に残るのは間違いないところでしょう。僕は個人的には相場にかかわる人の中で最も好きな人物です。

 今年の金融危機においても、最近米議会の公聴会で証言をしました。以下に少し引用します。

 同氏は「人為的規制で市場の流動性を低下させるべきではない」と強調。緊急首脳会合(金融サミット)などで浮上する市場規制強化の行き過ぎに懸念を表明した。 ( 引用ここまで、全文はこちら [日経新聞2008年11月13日] )

「人為的規制で市場の流動性を低下させるべきではない」という信念はソロスの一貫した思想です。ソロスのもっとも有名な取引である、イングランド銀行にケンカを売ってポンド下落を勝ち取ったエピソードもまさにこの信念を体現したものでした。

 ソロスは1930年にハンガリーで生まれました。第二次世界大戦(1939-45)では9歳から15歳だったことになるので少年時代は決して明るいものではなかったはずです。ハンガリーは枢軸国側で参戦したため、戦争末期の1945年にはソ連の侵攻で母国が戦場になった上、政府が転覆して共産主義政権(事実上ソ連の傀儡政権)が成立する動乱がありました。

 さらに、戦争直後の1945~46年にかけて、ハンガリーはすさまじいインフレに襲われ、物価はなんと「1垓倍」以上になりました。1垓は10の20乗です。別の書き方をすれば、1垓は10000京、1京は10000兆、1兆は10000億です。

 こういう状況では紙幣や銀行預金は物凄い勢いで価値がなくなるので、持っていても意味がありません。ソロスの少年時代にこういう現象を経験したということは、経済や相場に対する考え方に大きな影響を与えたのは想像にかたくないところです。

 余談ですが、このハンガリーのインフレはつい最近まで人類史上最も大きなインフレでしたが、ここ1~2年のジンバブエではそれに匹敵するインフレが起きています。この原稿を書いている時点ではまだだと思いますが、ジンバブエのインフレはまだ収まる気配がないのでハンガリーを超えるのは確実な情勢です。

 さて、ソロスは共産主義を嫌って1947年にハンガリーを脱出してイギリスに逃れ、大学で経済学の勉強をしたのち相場の世界に入ります。1956年には拠点をウォール街に移し、成功を重ねていくことになります。

 今回紹介するエピソードは1992年のいわゆるポンド危機です。(次ページへ続く)


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