MONEYzine(マネージン)

テーマ別に探す

【ギョーカイ裏話】
金融業界の転職は超・買い手市場に変貌

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
真行寺[著]
2008/12/13 10:00

 仕事を失った金融マンの受け皿となる転職先が枯れ果て、金融業界は超が付くほどの買い手市場に一変している。来年の職場探しは「越年」勝負を覚悟するほかない状況だ。(バックナンバーはこちら)

金融業界の転職は超・買い手市場

 外資系証券会社のリストラは、今年の11月末にかけ凄まじいものだった。世界トップ級の某投信会社では、東京を除く支店をすべて閉鎖し、東京でも営業マン30名中20名以上をバッサリ削減。残された社員も「なぜ自分が残れたかわからない」といい、いつお呼びがかかるか戦々恐々としているという。

 国内系証券会社でも、リストラは加速している。日興コーディアル証券では希望退職者を募集。人数制限はなしというが、実際は審査があるもようだ。しかし、この会社では早期退職の手当てが厚いことから、「このタイミングを逃すな」とばかりに希望退職申請を出すアラフォー証券マンが続出している(全社員7000人中1000人が応募したと報道されている)。

 前回も紹介したように、仕事を失った金融マンの受け皿となる転職先が枯れ果て、金融業界は超が付くほどの買い手市場に一変している。来年の職場探しは「越年」勝負を覚悟するほかない状況だ。目下では、12月初旬より大々的に募集が開始した、国内最大手証券の国内営業職にエントリーしようとする証券マンが多い。現職組でも、基盤の強い証券会社への転職チャンスと意気込んでいるようだ。

「証券会社には特別な情報がある」というのは幻想

 証券マンのなかで、ダントツ人口が多いのはリテール営業である。対面型の証券会社の個人営業で、名刺には「資産コンサルタント」や「投資アドバイザー」、「ファイナンシャルアドバイザー」などと記載されている。

 彼らがどういった仕事をしているのかといえば、大きく分けても小さく分けても「電話営業」と「訪問営業」の2点のみである。簡単にいえば、担当顧客の株の注文を受けたり、株のアドバイスをしたり、ノルマの課せられた“売りたい商品”をあの手この手で勧誘したり・・・といった具合である。

 私も大学卒業後、国内の証券会社でリテール営業に勤しんだ。その経験を踏まえていえば、対面型営業の証券会社で売買するなんてまったく理解できない。なぜなら、コンサルタントを名乗る彼らが株のプロではない場合が多いからだ。ネット証券よりはるかに割高な売買手数料を、彼らへのアドバイス料だと解釈してはいけない。

 まず、一般的に誤解されているのが、「証券会社には特別な情報がある」という幻想である。実際、証券会社の社員は「株を買ったら6ヶ月は売ってはいけない」など、株の売買に厳しいルールが設けられている。しかし、多くの証券マンと接したうえで自信をもっていえるのは、「一営業マンである彼らの持つ情報に、有利に株の売買ができる情報はない」ということだ。

 まず、一般の投資家の担当になる営業マンといえば、「近所の支店の誰か」である。この支店というのは、「江戸時代の開国前の日本」に似ている。かなり閉鎖的な空間であり、インサイダー的な有益情報など存在しない場所と認識してよい。情報の共有は、自社のアナリストが毎日更新するレーティング程度で、今やネット証券の投資ツールでタイムリーに確認できるレベルのものだ。

 しかも、日々のノルマに追われ、その情報をチェックすらしていない営業マンが多いのも事実である。また、仮に有益な情報があったとしても、彼ら営業マンの電話にはボイスレコーダーがついており、会話が録音されている。当然、そんな情報を話せるわけがないのである。

 インターネット証券の提供する投資ツールの進化と、レベルの高い個人投資家のブログなど情報の氾濫で、真面目に取り組む個人投資家は、確実に「証券マン超え」を果たしてしまったといえるだろう。それでも証券マンを経由し、高い手数料を払って株の売買を繰り返すというのであれば、それこそ「○○さんって営業マンが、人として好きだから」以外の何モノでもない。

【関連記事】
【金融ギョーカイ裏話】 金融業界から聞こえてくる悲鳴
【金融ギョーカイ裏話】 さすがの年収100億円部長もこの金融危機には・・・
内定取り消しの「迷惑料」として53人に100万円 日本綜合地所

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

著者プロフィール

  • 真行寺(シンギョウジ)

    兜町の人脈拡大を真面目に行なっている。金融業界の裏事情に精通し、一部のファンから熱烈な信頼を受けている。

     

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

All contents copyright © 2007-2019 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5