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めちゃくちゃな経済に誰がした? すべての元凶は不動産価格の高騰だ

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2008/12/27 16:00

 世界経済が大幅に失速しています。世間では大恐慌、金融危機などいろいろな言葉で今回の経済の混乱が表現されており、結局何が悪かったのが見えにくくなりつつあります。今回はその元凶が不動産価格の高騰とその下落であることと、それを踏まえた上での今後の見通しを説明したいと思います。(バックナンバーはこちら)

不動産バブルと一体の金融危機

 歴史を見ると不動産バブルの崩壊の後、金融システムに異常が発生し金融危機が起こっていることが分かります。1990年代の日本、1990年代前半の米国などがその典型でしょう。逆に1998年のロシア危機やLTCMの破綻の際は、一時的な衝撃が市場に走ったものの、比較的速やかに市場は正常化しました。

 なぜ不動産バブルの崩壊と金融危機がセットなのか、サブプライムローンなどの証券化商品が今回の危機とどう関連しているのかを考えてみましょう。

金融機関の貸し出しの大半は不動産関連

 まず、経済の血液とも言えるお金の流れ、その担い手である金融機関の貸出をみてみましょう。金融機関貸出の詳細を調べて見ると、不動産関連の割合が非常に高いことが分かります。貸出に占める不動産関連の割合は国によって多少違いがありますが、4~5割という高い割合を保っています。それに加えて、不動産以外のローン、いわゆる商業用ローンに関しても、担保に不動産を使用する場合が多く、実際はもっと高い比率が不動産に何らかの関連がある融資となっています。

 不動産向け貸出の割合が高い理由は2つあります。1つは「不動産1件あたりの金額が大きいこと」と、もう1つは「担保価値が安定していること」です。世の中にあるさまざまな実物資産のうち、通常一番価格が安定しているものが不動産であり、貸出がそれを中心に回っているのは合理的なシステムだと考えます。

不動産価格の下落は金融機関を直撃、そして経済危機へ

 貸出の大半が不動産関連であることから、不動産価格の下落は金融機関の貸出姿勢を直撃します。単純に担保価値が10%、20%と下がるわけですから貸し出しをその下落に応じて減少させる必要があります。

 問題はその金額の大きさです。米国の例で説明すると影響の大きさが分かります。米国不動産の時価総額を約2000兆円程度です。不動産価格が20%下落すると、約400兆円の資産が失われることになります。これを金融機関側から見ると400兆円の担保価値が失われることになります。もし金融機関が担保と同額の貸し出しを行っていた場合、400兆円の貸し出しを減少させる必要に迫られます。

 400兆円といえば、日本のGDPに近い金額です。米国だけを考えてもこのような規模の金額の貸し出しが世の中から消滅してしまうわけです。当然の結果として、経済は大恐慌となります。

証券化商品―形を変えた不動産向け貸出

 諸悪の根源と言われたサブプライムローン証券を始めとする証券化商品ですが、これらは形こそ変わっていますが、基本的には不動産への融資だと考えることができます。(次ページへ続く)


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著者プロフィール

  • 課長 今調査役(カチョウ イマチョウサヤク)

    大学院で物理学を志すも途中、島耕作にあこがれ金融業界へ。本職は債券市場と計量分析のアナリスト(自称調査役)であるが、お金の流れを追う過程でマクロ経済、株式、商品、アセットアロケーションなどを学び、株の銘柄選択以外すべてに通じるマルチアセットアナリストとして、多方面で活躍(予定)。日本人として日本人の資産をいかに有効利用するかを生涯の目標とする。
    好きな言葉 「潮が引いたとき、誰が裸で泳いでいたかがわかる」

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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