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株式市場はいつ底打つのか
「09年世界経済が克服すべき4つのリスク」

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2009/01/22 09:00

 世界の株式市場は現在小康状態を保っています。実態経済の回復までしばらく時間がかかると予想される中、2009年に株式市場が底打ちするため、世界経済が克服しなければならない4つのリスクを説明したいと思います。(バックナンバーはこちら)

株式市場は小康状態

 世界経済が悪化の一途を辿っています。住宅や自動車の販売が落ち込み、それに伴って鉄鋼、化学繊維といった素材の生産停滞し、企業の設備投資はほぼ停止している状況です。それに加えて、株式市場の落ち込みから消費者のセンチメントが悪化し、雇用環境の悪化も加わって個人消費が大きく落ち込んでいます。

 米国を始め各国政府が金融市場に積極的に介入し、株式市場は小康状態を保っています。実態経済の回復までしばらく時間がかかると予想される中、2009年に株式市場が底打ちするため、世界経済が克服しなければならない4つのリスクを説明したいと思います。

第5次中東戦争と第3次オイルショック

 半年前は需要過多による石油不足の懸念から、石油の値段が高騰していました。今では逆に、供給過多の懸念から原油価格が大きく下落しています。今度は地政学的リスクから供給に問題が生じ、再び原油価格が高騰する恐れが出てきました。

悪化する中東情勢

 中東情勢が悪化しています。ガザ地区からロケット弾を打ち込んできたハマスに対し、イスラエルは国民の圧倒的な支持を背景にハマス軍事部門の無力化を目的にガザ地区へと進攻。2月に総選挙を控える中、ガザ地区の完全掌握も視野に入ってきました。

 民間人1000人以上が死亡するという事態に対し、国際社会の反発は強まっています。国連ではイスラエル軍の撤退を求める決議が採択されました。エジプトなどが停戦の仲介に動いているものの、「ロケット弾の雨」にさらされてきたイスラエル国民の「安全」への欲求は強く、選挙も近いイスラエル政府に停戦するメリットがないのが現状です。

 戦況が長びくにつれ、アラブ諸国に「反イスラエル」で結束の動きが見られ始めました。イランでは義勇兵が募られ、ビン・ラディンが聖戦を呼びかけました。ヒズボラは関与を否定していますが、レバノンからロケット砲がイスラエル北部に打ち込まれました。同じ理屈で言えば、イスラエル軍がレバノンに進攻しても不思議はありません。それが拡大すると、イスラエル対反イスラエル(シリア、イラン等)の全面戦争とそれに伴う大幅な原油価格の上昇の可能性も出てきます。双方とも国を破滅に導く方法を選ぶとは思いませんが、国民の感情と反発をどれだけ抑えることができるかが鍵となりそうです。

第3次オイルショックは起こるか?

 原油価格が下がり資源国の財政が逼迫する中、資源を盾にとった強硬な姿勢が見られ始めました。
 泥沼化するロシアとウクライナの天然ガス問題はその代表例です。政治的な思惑と資源価格の値上げ要求が加わり、ロシアはウクライナ経由のパイプラインへの天然ガス送付を停止しました。

 ウクライナに支払い能力がないことを考えると、ガス使用者によるロシアへの金銭的保障が、最終的には何らかの形で支払われることで問題が解決すると思いますが、今回の紛争で一番影響を受けているのはウクライナ経由で天然ガスを購入していた東欧諸国であることを忘れてはいけません。

金融危機で大きな傷を負った東欧諸国ですが、天然ガスの供給が停止した影響でさまざまな経済活動が影響を受けました。ハンガリーにあるスズキの自動車工場では、電力不足のために操業を停止しました。世界経済の停滞の影響で生産活動が縮小している中、天然ガス問題でさらに経済活動がダメージを負う形になっています。

 今現在、資源を盾にとった外交活動を行っているのはロシアだけですが、1兆円以上の財政赤字が見込まれるサウジアラビアを始め、現在の原油価格の水準では大幅な収入不足が見込まれる産油国では、今後あらゆる手段を用いて価格上昇圧力を強めていくことが予想されます。

 前述の緊迫する中東情勢を含め、原油価格は産油国の目標水準である1バレル当たり70ドルから90ドルの水準に向かって調整する圧力が強まるものと考えます。現在石油消費国では、原油安に伴うインフレ沈静化とガソリン安による消費の下支えの恩恵を受けていますが、再び原油高になった場合、不景気とインフレという本格的なスタグフレーションに襲われることとなります。

 次に「世界の工場」と呼ばれる中国が直面する複数の問題についてみてみます。(次ページへ続く)


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著者プロフィール

  • 課長 今調査役(カチョウ イマチョウサヤク)

    大学院で物理学を志すも途中、島耕作にあこがれ金融業界へ。本職は債券市場と計量分析のアナリスト(自称調査役)であるが、お金の流れを追う過程でマクロ経済、株式、商品、アセットアロケーションなどを学び、株の銘柄選択以外すべてに通じるマルチアセットアナリストとして、多方面で活躍(予定)。日本人として日本人の資産をいかに有効利用するかを生涯の目標とする。
    好きな言葉 「潮が引いたとき、誰が裸で泳いでいたかがわかる」

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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