国内投資信託は3つだけで事足りる
通常、みなさんはたくさんある投資信託からどのようにして、自分にとって最適と思われる投資信託を選んでいるでしょうか。
これはわたしの個人的な意見ですが、これまで見てきたように、さまざまな種類の投資信託がありますが、国内投資信託に限って言えば、私は3つだけで事足りるのではないかと考えています。
その理由は、ほとんどの投資信託が、株式市場のパフォーマンスをアウトパフォームできないか、あるいは、アウトパフォームできたとしても、株価が下がれば同じようにマイナスとなってしまい、指数と連動してしまうからです。
よく「指数が-20%のとき、○○投資信託は下落が10%で済み、下げに強いことがわかります。」というような説明が書かれていることがありますが、お金を増やしたり、資産運用を行ったりするのであれば、当たり前ではありますが、日経平均株価などの指数(ベンチマーク)がマイナスでも、プラスが期待できる投資信託を選ぶでしょう。
ただ、ほとんどの投資信託は、指数がマイナスのとき、下落率は異なっても、マイナスとなってしまっているのです。しかし、実際に私たちが投資信託を購入する理由には、株式市場がどのような状態のときでもプラスで運用してくれることへの期待があります。
これまで見てきたように、ほとんどの投資信託は買いのみで運用が行われるため、下落相場では、リスク分散でマイナスとなる率を減らすことはできても、プラスにまでもっていくのは難しいと言えるでしょう。ただ、株価が上昇しているときのパフォーマンスは、もちろん銀行預金などと比較にならないほどのリターンが期待できます。
バブルの絶頂時は運用成績も抜群だった
過去の話で申し訳ありませんが、私が証券会社に入社したころ、1988年は空前の証券ブームでした。そのころ、新人の私は先輩に頼まれて、お客様のところに投資信託の分配金を持っていったのですが、1988年~89年末までは、バブルの絶頂を迎えようとしているときでしたから、投資信託の運用成績も良く、分配金だけで年率10%以上ありました。この分配金を差し引いても、投資信託の基準価格は年率20%に近づこうかというぐらいのものでしたから、当時の株式市場の活況具合が目に浮かぶと思います。
ただ、バブル崩壊後の株価下落局面では、投資信託の運用成績は惨憺たるもので、中には、基準価格が半分以下になるものもあったくらいです。そこで、こういった過去の経験から、私なりに投資信託についてまとめてみました。
① 上昇局面の時には、投資信託は銀行の預金などと比較にならないほど高いリターンが期待できる。
② ただし、下落局面では、株式に投資するのと同様にマイナスになってしまう。
③ 投資家の希望は運用成績がマイナスにならないことであって、指数の下落率を上回っていればよいというものではない。
④ 資産運用でお金を増やしていくためには、下落相場でも預けたお金がプラスになる運用を行う必要がある。
こうしてみると、上昇局面に限らず、下落局面でも賢く投資信託を使い分ける必要があると言えそうですが、実際の投資家の投資行動を見ていると決してそうはなっていないようです。
もし、投資信託選びに迷っているというのであれば、先ほどのまとめに沿って3つの投資信託に絞ってみてはどうでしょうか。私が選ぶ3つの投資信託とは、ブル型投信、ベア型投信とラップ型の投資信託です。私の考えは極端かも知れませんが、たくさんある国内投資信託選びで迷っているのであれば、有効ではないかと思われます。
では、これまで株価がどのように推移していたのかを見ながら、私が選んだ投資信託の基準価格がどのように推移しているのかを見てみましょう。(次ページへ続く)