小沢民主党代表の秘書逮捕で政界に激震! だが、もっと深刻なのは株式市場。3日には、バブル後最安値を割り込む場面もあったにかかわらず、政府からの発信はどこにも見受けられなかった。
ということで、当分の間、株価の反転は期待薄。所有株の塩漬け状態は仕方がないにしても、せめて配当、任天堂の山内相談役の178億円(1416.5万株×1株1260円)は遠い夢としても、1円でも高く、という株主は多いはず。
だが、存在そのものが「政治空白」と酷評される麻生総理からは、危機感の欠片も感じられないのだから、国民にとってこれほど不幸なことはない。とくに株安に対する具体的対策は皆無。09年3月期決算を乗り越えられない企業が出てくるのは必至の状況だ。株式市場に無関心なのか。麻生内閣の面々がどんな株式を所有し、株式配当金をいくら得ているのかをみておこう。

まずは麻生総理。総理のファミリー企業、麻生。その麻生はフランス企業との合弁、麻生ラファージュセメントを中心に株式を上場している麻生フオームクリート、それに病院・介護、不動産、小売、人材派遣などを手がける子会社を傘下に擁する企業グループだ。
麻生そのものは非上場。ただし、配当は実施しており、08年3月期は1株当たり30円(前年は40円)の配当だった。グループでは赤字決算(売上高1023億円、当期純損失4・7億円)だったが、単体では黒字を計上(売上高263億円、当期純利益2・9億円)したからだろう。
当然のように、麻生総理はその麻生の大株主。19万2366株所有(配偶者・子ども分も含む)していたことで、577万円の配当金を受け取ったことになる。そのほかに所有する西日本鉄道や東洋水産などを含めれば、昨年の株式配当総額はおよそ714万円にもなる。
現閣僚で最も高額な配当金を受け取っているのは鳩山総務相。ブリヂストン、NOK、王子製紙、三井化学……昨年の配当金合計は1億円を超す。

また防衛族らしく三菱重工業、川崎重工業などの株式を所有する石破農相が95万円。野田消費行政担当相88万円、金子国土交通相71万円……。いずれにしても、21世紀に入ってからの「従業員軽視、株主重視」、いわゆる給料安の配当高を閣僚もそれなりに享受してきたということは事実だろう。

新聞による「総理動静」からは、その出社状況が読み取れないが、麻生総理の配偶者は、麻生の取締役の座に就いて10年余。麻生は07年度、8人の取締役に年間総額で1億3600万円の報酬を支給しているほか、役員の退職金に備える引当金増加額3700万円を計上。合計すると取締役の人件費総額は1億7300万円にのぼり、1人平均2162万円になる計算だ。
この役員報酬もどうだろうか? トヨタ自動車を筆頭に役員の報酬・賞与カットに動いている会社が続出しているなかで、麻生とて例外ではいられないだろう。麻生の08年4月-9月決算は、連結・単体とも最終赤字に転落している。
これらの現実を前にしても、「政局よりも政策だ」の麻生内閣に動く気配がない。ひょっとして、年収ベースで4000万円から5000万円と推定される総理としての歳費が、並の国会議員3000万円レベルに戻っても、株式配当金の減額も気にしなくていいほど懐が豊かだということなのだろう。迷走の末、定額給付金を受け取るとしたが、自らの裕福さを認めるように、「矜持」や「さもしい」発言があった事実は消えるものではない。
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