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資産運用には興味なし
想像を絶する富裕層の資産管理術

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 資産1億円は「つるし」と呼ばれ適当にあしらわれる富裕層の世界。彼らの関心事はいかに相続税を払わないかということだが、ついに相続税がゼロなるときがやってきたのだ。(バックナンバーはこちら)

日本では肩身の狭い思いをしていた富裕層たち

「1000万円なんて、まあ、ゴミですね。われわれが相手にしているのは、資産100億円の富裕層ですから」
 そう豪語するのは、あるメガバンクの富裕層担当の営業マンだ。

 ここ数年、規制緩和で市場競争が激しくなって、富が一握りの成功者によって、独占されつつある。医者や弁護士など旧富裕層(オールドリッチ)と合わせて、新規株式公開長者の新富裕層(ニューリッチ)が拡大していることもあって、メガバンクはこれまで手薄だった富裕層開拓に乗り出した。金融機関同士の競争も激しくなり、食うか食われるかの生存競争になっているのだ。当然のごとく、成功者と貧困層の格差も大きく開いていくことになった。

 このメガバンクは、顧客を3つの層に分けてセールスしている。まず預かり資産が1億円以上の富裕層、次に住宅ローンを組みつつ投信や年金・国債などを購入しながら良い関係にある資産形成層、最後にいまのところ給与振込や公共料金の振替などでしか利用しないマス顧客層だ。

 巻頭のセルフのごとき預金が1000万円あっても、つまり金融機関からすると「ゴミ客」なので、ここに販売促進をかけてもムダだと考え、なるべく手間をかけないように徹底的に省力化を図っている。3つの層を人口比にすると1対3対6だが、1割しかいない富裕層が全資産の3割を占めているからだ。

「お金を持っていない層からが何事も注文やクレームが多いですね。ですから省力化して、コンタクトを取らないようにしています。つまり、ATMのような機械がすべて応対すれば、その分、利益率が高い富裕層向けに積極的な営業活動ができますから。富裕層はいったん顧客になってもらえれば、心にゆとりがあるので、ほとんど任せきりですからやりやすいですね」(前述の営業マン氏)

 最近やっと日本のメガバンクも富裕層向けのセールスを始めるようになったが、それまではまったく手付かずで、欧米で活躍している「プライベートバンカー」と呼ばれる金融コンサルタントが、限定された顧客に細々と営業しているだけだった。

「プライベートバンカー」とは、いろいろと訳し方はあると思うが、個人の顧客相手の銀行家、つまり富裕層向けの資産運用アドバイザーといえるだろうか。

 日本では金融ビッグバンまでは、旧大蔵省の強い制約下で、顧客を選別化することへの批判を恐れて、富裕層向けの金融サービスは行われていなかった。富裕層自身も、世間からの嫉妬ややっかみが恐くて、なるべく波風を立てずに静かに表に出ないように暮らしていたのだ。一部、外資系の金融機関、米国のシティやクレディスイスなどが、富裕層向けに細々とサービスを行っているだけだった。

本来の富裕層は資産運用に興味がない?

 プライベートバンクの歴史を遡ると、18世紀から19世紀にラロッシュやピクテ、ミラボー、ロンバー・オーディエ・ダリエ・ヘンチなどが、その始まりで、所属するパートナーが無限責任で顧客から資産を預かって管理していた。まさにこれこそ「プライベートバンカー」だ。

 通常なら、資産を管理するだけでなく運用する――つまり増やすという目的で委託すると考えがちだが、富裕層はそんなケチな考えは持っていない。

「数百億円を有する本来の富裕層で、運用によって資産を増やしたいと思っている人はほとんどいません。唯一の希望は資産の保全と分散、そして隠匿です。つまり資産隠しといってもいいかもしれません」(スイス系金融機関の幹部・W氏)

 なぜ資産運用より「資産隠し」なのだろうか?(次ページへ続く)


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