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市場の効率性に疑問の声 「割安に放置される資産たち」

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2009/03/20 09:00

 金融危機により、大津波に洗われた市場ですが、割安に放置されて回復しない市場がいくつか散見されます。 実はこれらの国債は、投資信託を通じて個人で購入することができます。割安な資産があり、それを購入できる、そういった当たり前の情報がなかなか末端の個人投資家まで伝わることはないのです。(バックナンバーはこちら)

混乱の中で割安に放置される資産たち

 2008年9月のリーマン・ブラザーズ証券の破綻以降、世界中で資産価格が大きく変動しました。代表例は株式や通貨であり、以前から問題にあがっていたサブプライムローン証券などの証券化商品も大きく値下がりしました。大津波に洗われた市場ですが、割安に放置されて回復しない市場がいくつか散見されます。

 日本国債は、発行残高が400兆円を超える、世界で発行残高の一番多い国債であり、信用、流動性、取引参加者、どれをみても一流の国債市場です。そんな国債市場の中で、今回の嵐の後、15年変動利付国債、物価連動国債の2種類の国債が割安に放置され続けています。

15年変動利付国債―割安放置資産その1

 まず最初の変動利付国債について説明しましょう。この国債は、「利率が10年金利に連動する」という特徴を持つ、償還まで15年の国債です。発行開始は2000年で、日銀のゼロ金利政策のために利回り収入の低下に困った投資家からの要望に基いて、利回りを確保でき金利上昇に強いという特徴を兼ね備えた債券として、発行が開始されました。発行開始からしばらくは、国内金融機関を中心に順調に販売され、発行残高は大きく増加しました。一見順調に見えた15年変動利付国債ですが、発行当初から2つ問題を抱えていました。

 まず1つ目は、価格の透明性です。一般の国債の場合、裁定取引が容易に可能で、実際の価格が理論価格からはずれてしまうと瞬時に裁定取引が行われるため、取引はほぼ理論価格に近い所で成立します。ところがこの15年変動利付国債は、商品設計が複雑で裁定取引が難しいため、市場での取引価格が理論価格から大きく乖離することがしばしば発生しました。つまりその時の需給に左右され、価格が大きく変動していました。

 次に2つ目は、その価格の変動性が大きさです。利回りが高く金利上昇に強いという長所を持つ反面、市場のボラティリティより価格が大きく変動するという特徴を持っていました。そのため、2002年、2003年の金利上昇時に大きく価格が変動することで、投資家の期待を裏切る結果になってしまいました。そして、その価格変動の大きさに耐え切れなくなった投資家が、一人また一人とこの国債への投資を止めていきました。

物価連動国債―割安放置資産その2

 次にもう1つ割安に放置されている資産である「物価連動国債」もみていきましょう。(次ページへ続く)


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著者プロフィール

  • 課長 今調査役(カチョウ イマチョウサヤク)

    大学院で物理学を志すも途中、島耕作にあこがれ金融業界へ。本職は債券市場と計量分析のアナリスト(自称調査役)であるが、お金の流れを追う過程でマクロ経済、株式、商品、アセットアロケーションなどを学び、株の銘柄選択以外すべてに通じるマルチアセットアナリストとして、多方面で活躍(予定)。日本人として日本人の資産をいかに有効利用するかを生涯の目標とする。
    好きな言葉 「潮が引いたとき、誰が裸で泳いでいたかがわかる」

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

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