MONEYzine(マネージン)

テーマ別に探す

【財務諸表が読める・わかる】
あのマクドナルドの決算書を丸裸に

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2009/03/27 09:00

 ファーストフード業界で抜群の集客力を誇り、ひとり勝ちの業績をおさめている日本マクドナルド。同社の財務諸表にはどのような特徴があるのか、解剖していきたいと思います。(バックナンバーはこちら)

マクドナルドの財務諸表を見る

 今回見て頂くのは、日本マクドナルドホールディングス株式会社(証券コード:2702)の平成20年12月期(平成20年1月1日~平成20年12月31日)の財務諸表です。筆者はあまり利用しないのですが(ハンバーグやつくねなどがあまり好きではないので)、ほとんどの方がマクドナルドを利用したことがあると思うので、今回もイメージしやすいのではないでしょうか。

 マクドナルドに対して多くの方が持っているイメージは、「安い」ではないでしょうか。お金が無いときのランチとして、マクドナルドか牛丼を考える方は多いかと思います(筆者は牛丼を考えますが)。後で説明しますが、実はその安さも財務諸表にある特徴となって表れます。

マクドナルドの損益計算書を見る

 今回見て頂くのも連結財務諸表です。損益計算書の当期純利益の1つ上を見ると、少数株主利益があります。ただし、その額は、当期純利益12,393百万円に対して12百万円と大きくありません。このことから少数株主が少ないことがわかります。

 前回見たユニクロの株式会社ファーストリテイリングと同様、この会社も持株会社で(通常、会社名に「ホールディングス」と付くのは持株会社)、3つの子会社があります(その中の日本マクドナルド株式会社がハンバーガーレストラン事業を運営)。3社のうち2社が100%子会社、残りの1社が70%子会社なので、少数株主は少ないのです。

 それでは、今回も連結損益計算書であることを踏まえて、上から順に当期純利益12,393百万円をどのようにして得たのかを見ていきます。

 まず売上高406,373百万円に対して売上原価が337,412百万円で、売上総利益は、売上高406,373百万円-売上原価337,412百万円=68,960百万円となります。さまざまな子会社がさまざまな事業を行っているような場合、この内訳を確認しなければなりませんが、この売上高の90%超はハンバーガーレストラン事業によるものなので、337,412百万円のハンバーガー(ポテトや飲み物なども含みますが)を406,373百万円で販売したと見て構いません。なお、売上原価337,412百万円はハンバーガーを作るためにかかった額で、ハンバーガーの材料費(パンやハンバーグなど)の他に、ハンバーガーを作る方の給与なども含まれています。

 売上高、売上原価、売上総利益の額を見ると、売上高に対して売上原価が大きく、売上総利益が小さいことがわかります。「薄利多売」という言葉がありますが、この言葉の意味を正確に言うと、商品1つ当たりから得られる売上総利益の額が小さいので、多くの商品を販売し、売上総利益全体の額を大きくして、それによって販売費及び一般管理費をまかなうこととなります。この会社の事業は薄利多売の典型と言えます。先ほど言った安さが財務諸表に与える特徴とは、このことです。

 そう言えば、前回見て頂いた株式会社ファーストリテイリングの事業も薄利多売のようでいて、意外にそうでもなかったですね。もしかしたら今後もっと安くしていくのかもしれません。しかし、食料品と違って衣料品の場合、消費者は同じものを買い続けるわけではないので(食料品は食べたら無くなるが、衣料品は着たら無くなるわけではない)、食料品のように薄利多売を行うのは困難なのかもしれません。

 売上総利益でまかなわなければならない販売費及び一般管理費ですが、49,416百万円発生し、営業利益は、売上総利益68,960百万円-販売費及び一般管理費49,416百万円=19,543百万円となりました。販売費及び一般管理費のうち主なものは、広告宣伝費10,877百万円(マクドナルドのCMは頻繁に見ます)、販売促進費13,874百万円、給与手当6,674百万円(ハンバーガーを作る方以外の方のもの)です。薄利多売なので、商品を安くする代わりにたくさん販売しないと、売上総利益で販売費及び一般管理費をまかなえません。しかし、商品をたくさん販売して生み出した売上総利益でまかなうことになる販売費及び一般管理費の半分近くが、広告宣伝費と販売促進費、すなわち商品をたくさん販売するための費用というのは、何だか少しおかしな感じがしますね。

 営業外収益と営業外費用を見ると、店舗用固定資産除却損により営業外費用の方が大きくなり、経常利益は、営業利益19,543百万円+営業外収益1,344百万円-営業外費用2,648百万円=18,239百万円と、営業利益よりも少し小さくなりました。固定資産除却損は特別損失とするのが普通ですが、おそらく店舗用固定資産の処分は常時行っていて、通常の活動によって発生しているものだと考え、営業外費用としているのでしょう。なお、営業費用の中の支払利息の額が小さいことから、借入金の額が小さいことがわかります。

 そして、特別利益が4,114百万円、特別損失が769百万円発生して、税金等調整前当期純利益は、経常利益18,239百万円+特別利益4,114百万円-特別損失769百万円=21,584百万円となりました。特別利益の中で最も額が大きい投資有価証券売却益は、市場で売却したりせず、長期間持っている他の会社の株式などを売却した際に発生したものです。特別損失の中にも投資有価証券売却損0百万円とありますが、これは百万円未満のものが発生したということです。また、特別損失の中の固定資産除却損と固定資産売却損は、店舗を閉鎖したり、直営店をフランチャイズ化した際に発生したものです。

 最後に税金等調整前当期純利益から税金と少数株主利益を引くと、当期純利益12,393百万円となります。次に貸借対照表を見ていきましょう。(次ページへ続く)


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

著者プロフィール

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

All contents copyright © 2007-2019 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5