MONEYzine(マネージン)

テーマ別に探す

為替相場09年後半の動き
「考えられる2つのシナリオ」

  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2009/04/06 16:00

 26年もの間、為替の世界に身を置いてきた著者が未曾有の金融危機・為替危機にある現在の為替相場を分析。今後の動きを展望する。(バックナンバーはこちら)

未曾有の金融危機を忘れてはいけない

 金融市場は3月後半に入ってからの世界的な株価の反発や先週のロンドンG20金融サミットを経て落ち着きを取り戻しつつあるように感じられる。これが景気回復への本物の動きか、あるいは単なるベア・マーケット・ラリーに終わるのか、今年後半に向けて2つのシナリを考えてみたい。

 何度も繰り返しになるが昨年夏場から始まるアセット市場・金融市場(多くの通貨の大暴落)のメルトダウンは長年金融市場に身を置く小職にとっても、かつて経験したことのない戦慄を覚える“カタストロフィー(破局)”とも言えるできごとであった。そしてその原因となったサブプライムの原因究明こそは今後の金融市場の展望を行う上でも何年かけても完全に解明すべきであると信じている。

 正直言って小職には、いまだになぜ、5年も6年も前からすでに警鐘が鳴っていた米国の不動産バブルが、サブプライムローン問題の表面化により世界中の金融機関のバランスシートを瞬時に泥まみれにしたのか、そのメカニズムが必ずしも定かではない。

 日本および、欧米の金融機関のいわゆる「フロントオフィス」(ディーリングルームなどの収益部門)に長らく在籍した小職は、フロントを牽制するリスク管理部門(いわゆるミドルオフィス)が最新鋭の金融工学を駆使したプログラムで常にフロントオフィスのリスク管理、収益管理を行っていることを重々承知している。

 にもかかわらず不動産担保証券という毒饅頭は世界の金融機関にばら撒かれ複雑に入り組んだ債権債務関係やCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などの信用売買を通じてAIGなどの保険会社にも伝染し、金融機関における世界的な信用収縮がドミノ現象的に一般事業法人をも破綻へ導いたことは紛れもない事実。

 そしてこのカタストロフィーの震源地米国における根本原因は次の2つと考えられる。

米国の過剰消費体質だ

 まず第一に米国の過剰消費体質だ。今回のサブプライムショックはある意味で1929年の米国に端を発する世界大恐慌と酷似する。当時も米国国民はブローカーローンという名のローンシステムで金を借りて株式投資に狂奔し、一気に株式バブルの崩壊に突き進むのである。今回のサブプライムローンもつまるところ頭金もなく返済計画も定かでない低所得者層にローンを組み、彼らをアセット担保の消費に駆り立てた。この米国民の時代を経ても変わらない消費性向の高さ=貯蓄性向の低さが大きな原因の1つであろう。

米政府・当局の金融規制、監督の甘さ

 第二に米政府・当局の金融規制、監督の甘さがあげられる。上述のように米国不動産バブル崩壊の危機は何年も前から言われており、当時米議会でもノン・バンク規制の強化や金融当局(FRB)への検討要請が幾度となくなされた。

 しかし当時のグリーンスパンFRB議長はアダム・スミスの「神の見えざる手」を信奉したのか、自由主義経済における市場の法則に対する国家の介入に拒否姿勢を示し、また一部国会議員の強引な拒絶反応もあって法制化は阻止され、今回のディザスターに繋がった経緯を忘れてはならない。稀代の名議長と言われたグリーンスパン氏の現在の心境やいかに?

 では次に今年後半にかけて考えられる2つのシナリオを見てみたい。(次ページへ続く)


  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

著者プロフィール

  • ジョー津田(ジョー ツダ)

    本名は津田 穣(つだ みのる)。1978年東京銀行(現 東京三菱UFJ銀)入行。1982年、当時オイルマネーが潤沢であった中東のバーレーン支店において為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店チーフディーラー、本店オプションチーフを務めた後、1990年に外資系銀行(米系、スイス系)に転出し、為替・資金業務に携わる。
    1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。顧客に的確な市場情報の提供/アドバイスを行い、豪州各地で講演会や市場説明会を実施して顧客の評価を得る。
    2008年から知り合いの投資家の運営する AT FUND, Sydneyにファンドマネージャーとして参加し現在に至る。在豪10年以上の間に培った市場関係者との良好な関係を現在も維持し、日本の投資家に向けて市場メッセージを送り続けている。

本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、続きを見る

All contents copyright © 2007-2019 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5