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米国は強欲資本主義から脱皮できるのか
「ヘッジファンドに牛耳られたオバマ政権」

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2009/05/03 10:00

 オバマ政権の中枢には強欲資本主義をこれまで実践してきた人物たちが並んでいる。今後のアメリカ経済はヘッジファンドが主導権を握る形で進むことになるだろう。前政権とは比較にならないレベルで勝ち組ヘッジファンドが「わが世の春」を謳歌することになる可能性もある。(バックナンバーはこちら)

注目を集めたジョージ・ソロス氏のカムバック

 アメリカ発の金融パニックが世界を不安の渦に巻き込んでいる。その一方で、したたかに莫大な利益を稼ぎ出している投資家たちも健在だ。

 その代表的存在がヘッジファンド業界であろう。2008年、約1万社と言われるヘッジファンドの中には運用の失敗により倒産したり、吸収合併の対象になるケースも多かった。1000社近くのヘッジファンドは姿を消し、全体の3分の2近くのファンドも平均すると18%近くの損失を計上したという。

 ところが、中には史上空前の利益を上げたファンドも存在していた。彼らはきびしい投資環境の中で2006年以降、毎年対前年比で大幅増の収益を上げているというから驚かされる。

 ヘッジファンドの業界情報誌「アルファ・マガジン」が毎年発表する前年度の収益ランキングを見ると、2008年のトップ10社の中にはこのところ毎年記録を更新し続けているルネッサンス・テクノロジーズのジェームズ・シモンズ氏を筆頭にポールソン・アンド・カンパニーのジョン・ポールソン氏、センタウラス・エナジーのジョン・アーノルド氏などがランクインしている。

 とはいえ最も注目を集めたの、はかつて「ヘッジファンドの帝王」と異名を取ったジョージ・ソロス氏のカムバックであった。なんと同氏は2008年、11億ドルの収益を上げ、「アルファ・マガジン」が選んだヘッジファンド・トップ10の第4位に返り咲いたのである。

 ソロス氏はすでに数年前から世界的な金融収縮の動きを予測し、迫り来る危機の可能性について警告を発し続けていた。そして自らの予測の正しさを立証するかの如く、金融パニックの到来の先回りをし、得意の空売り戦略を駆使。昨年は「自らの投資家人生の中で最も実りの多かった1年だ」と述懐できるほど大きな利益を手にしたのである。

逆張り投資で11億ドルの利益

 これまでにもソロス氏は世界的な金融危機の到来を2度にわたって予測していた。多くの投資家たちはこの天才投資家の見通しに耳は傾けたものの、実際に金融危機の対処法を実践するまでには至っていなかったようだ。

 ソロス氏は自らが立ち上げたクゥオンタム・ファンドの中身を全面的に組み替えることで「世界的な大恐慌にたとえられる今回の荒波を巧みに乗り越えることができた」と自己評価している。

 すでに現役からはリタイアし慈善事業であるオープン・ソサエティーの仕事に専念していたソロス氏であるが、2007年に突如、古巣のヘッジファンド・ビジネスにカムバック。息子に任せていた投資ファンドの運用を引き受けたのである。

 その結果、2008年には29億ドルの運用資金を集めた上で、住宅バブルや金融危機の流れを読み、逆張り投資によって11億ドルの利益を生み出したという。78歳になるファンドマネージャーとしては異例の賭けに成功したといえそうだ。曰く「これまで生きてきた中で体験したすべての成功、失敗の教訓を総動員し、今回は大勝負に出た。若い連中にはまだまだ負けられない」。確かに35歳限界説が囁かれる業界において、78歳の活躍ぶりは驚異的だ。

冴え渡るシモンズ氏の分析

 ヘッジファンドの世界ですでに「伝説的な最高プレーヤー」と崇められている元数学教授のジェームズ・シモンズ氏も相変わらず健在で、ルネサンス・テクノロジーを率いて2008年には25億ドルの利益を稼ぎ出した。(次ページへ続く)


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